2015年3月号 NO.1

  1. MS/NMO治療3部作
  2. NMOsdで起立性低血圧
  3. 脳指紋検査 4
  4. NEDA成績比較
  5. 長期間治療後のNEDA評価を困難にさせる問題点
  6. 脳MRIでのMS activityと再発とは必ずしも相関しない
  7. 治療の如何を問わず発症から7年後のNEDAは7.9%
  8. 茨城県民体操
  9. 美味しい焼肉店を発見!
  10. 焼肉のプロが教える美味しいうますぎる部位とは・・・
  1. MS/NMO治療3部作 がそろいました!
    Tanaka M, Park K, Tanaka K. Reduced fingolimod dosage treatment for patients with multiple sclerosis and lymphopenia or neutropenia. Mult Scler. 2013;19:1244-5.

    Tanaka M, Kinoshita M, Tanaka K. Corticosteroid and tacrolimus treatment in neuromyelitis optica related disorders. Mult Scler, in press.

    Tanaka M, Kinoshita M, Foley JF, Tanaka K, Kira J, Carroll WM. Body weight based natalizumab treatment in adult patients with multiple sclerosis. J Neurol, in press.  

    品がありませんが、2つの雑誌のimpact factorは、それぞれ4.863 (MSJ) と3.841 (JN) なので、3点の合計は、13.567となります。ま、一般病院にいる勤務医としては上出来、と評価して下さいませませ。
  2. NMOsdで起立性低血圧 
    ありそうで報告のない症状ですが、PRESを呈した5例中1例で記載がありました(Neurology 2009;72:712-7)。
  3. 脳指紋検査 
    犯罪捜査に利用されつつあるP300という脳波をご存じでありましょうや?「日経サイエンス」2014年9月号で特集されているそうですが、沢口靖子さん主演の京都府警科学捜査員を主人公としたTVドラマにも登場する時代です。外部から受けた刺激を脳は意識下で保存し、過去に経験したことを記憶と照合しP300に反映させるんだそうで、本人が忘れていても脳波でチェックできるんだそうな。また、ポリグラフよりより精度が高いのでは、と期待されています。新しい方法で証人を見つけ出す可能性や容疑者の嘘を見破る可能性を秘めているようです。
  4. NEDA成績比較 
    baselineが異なりますから、異なる臨床研究の比較は危険ですが、NEDAの条件が厳しいので、大雑把な治療の感覚の比較にはなるでしょう。観察期間は2-3年。
    1). Natalizumab 37%
    2). Alemtuzumab + Rebif 39%
    3). Ga 19% IFNβ1a 21% GA + IFNβ1a 33%
    4). Fingolimod 33%
    5). 自己幹細胞移植 75% (Imitola J & Racke M. JAMA Neurol in press)  
    5)はちょっと特殊ですが、NEDAで評価するとAlemtuzumabがRebifと併用してもNatalizumabと同程度、ということと、3)のCombiRx studyの結果は意外で、作用機序が異なるとはいえ、first lineの2剤の併用で4)と同程度というのは大変なことのように思われます。2)は比較する期間が短いためでしょうか?AlemtuzumabもPMLのriskこそないものの、治験中にITPによる脳出血で死亡例が出ています。しかし、治療開始5年後の結果は単独でもNatalizumabより良いのではないでしょうか?後者は5年間も治療を継続することはPML riskのために困難でしょうから。
  5. 長期間治療後のNEDA評価を困難にさせる問題点  
    NEDAに特異的に問題となることは、欧米ではSPMSへの移行例が出てくることでしょう。一般的に長期間の治療効果を論じる場合、drop outする患者をどう評価するかが問題で、adverse effectsやcomplianceだけでなく、breakthrough diseaseの可能性もあり得るでしょうから。
  6. 脳MRIでのMS activityと再発とは必ずしも相関しない 
    イタリアのSormani MP教授の度重なる綺麗なデータはありますが、Fingolimod中止直後に再発は意外に少ないけれども、脳MRIでは造影病変が中止3ヶ月以内に治療前に戻ることはECTRIMSで報告されました(Mult Scler 2010;16:S295-6; 神経内科 2013;79:400-10)。必ずしも相関しないことはBarkhof教授も以前、報告していました(Curr Opin Neurol 2002;15:239-45)。次の項目(Harvard大からの報告)でも同様の現象が認められています。実際、個々の例のレベルでは、造影病変が頻回に出現するような状態でも、治療内容を変えなくても再発するとは限りません(もちろん、放置して構わないという意味ではありませんが)。集団で評価する場合はともかく、個々のレベルでは治療内容を変えたくても変えられないことはありますから、ドキドキしながら様子を見ることになりますね(稀なので、痛い目に遭ったことがありませんし、どの程度にやばいのかも知りませんが)。
  7. 治療の如何を問わず発症から7年後のNEDAは7.9%
    Harvard Univ.から2014年のECTRIMS/ACTRIMS合同会議で発表されていたポスターが論文として発表されています(Rotstein et al. JAMA Neurol, in press)。1年目でNEDAを満足したのは215例のうち99例(46.0%)あったのが、7年目には17/216例(7.9%)へ激減。  
    時間の経過とともに再発とMRI disease activityとも疾患活動性が認められるようにはなるのですが、両者が常に陽性とは限りません。つまり、再発の有無とMRI活動性が相関しないということ。MRI negative, clinical positiveの割合はほぼ常にconstantで1年目が15.0%、7年目も15.8%。再発時でもMRIで造影病変やT2新あるいは拡大病変が常に認められないことと同様に、再発の認められる疾患活動性が高いと思われる時期でもタイミングや感度の問題があるためと思われ、15%と一定なのは、上記の割合がこの程度ということと思われます。逆に、MRI positive, clinical negativeという割合はむしろ次第に減少してゆくようで、1年目は23.5%、7年後は14.8%。asymptomatic brain lesionがMRIで認められなくなることは、炎症性病変が乏しくなってゆくことを示唆しているのでしょう。いずれにせよ、両者が一致しない割合が結構あることから、個々の例での治療判定には充分な配慮が必要なように思われます。数千例の解析から、機械的に当てはめることは危険です。ま、臨床医にとっては当然かな?
  8. 茨城県民体操 ってご存じでありましょうや?茨城県内の中学校や高校で、今でも行われていますが、茨城県外では全く知られていません。ところが、1951年に制定された、NHKのラジオ体操の原型であることはほとんど知られてはいないようです。考案者は当時の茨城県体操協会長で、ベルリンオリンピックに出場した遠山喜一郎です。ラジオ体操の相談を受けていた遠山は、すでに存在していたこの体操をプレゼンしたんだそうですが、関節の動かし方が難しくて高齢者には無理とされ、簡略化されてラジオ体操が完成。ですから、両者の動きは類似しています。
  9. 美味しい焼肉店を発見! 
    今回食べたのは、能登牛の上ミスジ、ザブトンロース、特選ヒレ、霜降り赤身、中落ちカルビですが、美味しかったです。テールスープやクッパなどご飯物には到達できず。ちょっとお高め。名鉄「エムザ」裏、金沢市片町2丁目の「牛や 榮太郎」(076-255-0256)(17:00-24:00)。創業大正3年の老舗精肉店である、富山の“肉の花島”が展開する直営の焼肉店で、A4かA5ランクの最上級厳選黒毛和牛を提供。
  10. 焼肉のプロが教える美味しいうますぎる部位とは・・・ 
    1). 三日月 1頭から4人前しか獲れない希少部位。リブロースの近く?(正確な部位は聞き落としました) ゆずおろしを乗せて食べるのがお薦めだそうです。阪急梅田百貨店の「松屋」さんで食べられます。2600円。
    2). ハギシ 齲歯の顎の部分で1 kgしか獲れないそうです。少し硬く歯ごたえあり。焼肉ホルモン「空」の方がお薦め。
    3). プップギ 牛の肺のこと。マシュマロみたいな食感。天ぷらにすると美味しいそうです。看板商品がミスジの焼肉レストラン「松井」さんの方がお薦めですが、お店では出していません。 (個人的にはホルモンは・・・ABCテレビ「なるみ・岡村過ぎるテレビ」2015年2月8日深夜より)