2015年2月号 NO.3

  1. 27年間のカナダのMS患者の入院事情の変化
  2. ご飯のおとも
  3. 「セニョリータ陽子」
  4. A群溶血性連鎖球菌
  5. Dengue viral infectionによる自然寛解小脳症状
  6. Dengue熱による神経症状
  7. ウイルス性急性小脳炎の原因
  8. Postinfective cerebellitisの原因
  9. チチカカコ
  10. 労働安全衛生法の基礎
  11. 深部銃創止血には圧縮スポンジ
  1. 27年間のカナダのMS患者の入院事情の変化 
    1984-2011年の期間で、一般の入院患者に比して、入院するMS患者が直線的に激減しています。IFNβやCopaxonの開発などDMTの進歩が大きかったのでしょうが、合併症が減少していることが大きいようです。MS以外での3大入院理由は、消化器、泌尿生殖器、循環器系。細菌性肺炎、インフルエンザ、尿路感染症、褥瘡が他の患者より入院理由が多かったことは、入院が合併症によることを物語っています。高齢者、男性、低所得者が入院増加と関連。
  2. ご飯のおとも 
    筆者の自宅に現在あるものは・・・
    「ご飯にかけるギョーザ 元祖宇都宮」
    ユーユーワールドUA 「小杉こんぶ」
    京都雲月 「小豆島で炊いたうまいぞしょうが」
    タケサンフーズ 「磯じまん」
    磯じまん(株) 大阪の定番
    「五辻の昆布」五辻の昆布。京都西陣の味。これはむしろ酒のおとも
  3. 「セニョリータ陽子」
    スペインのクレメンティンを原料に国内で作製された入手困難なジュース。非常に甘いんだとか。中心部からしか果汁を捕らないため。有明海に面した山で栽培されていて、様々なジュースを田島彰一さん(65)は作製していらっしゃいますが、ネーミングに家族の名前を付けていて、「陽子」さんは三男のお嫁さんの名。
  4. A群溶血性連鎖球菌 による劇症型溶血性連鎖球菌症は、1999年の調査開始以来2014年は最多の263人になったと、国立感染研究所が発表(2014/12/24)。致死率は30%。患者の分布は東京41人、神奈川19人、愛知18人など、人口に比例しているようで、特に、地域集積性はないようです。
  5. Dengue viral infectionによる自然寛解小脳症状 という報告がSri Lankaから出ています(Pract Neurol 2014;14:175:8)。そもそもスリランカはデング熱の流行地なんだそうで、2011年に28473例の報告があるんだそうでありますよ。この報告では25歳男性、28歳男性、40歳女性例が報告されています。
  6. Dengue熱による神経症状  
    後遺症として多いのは、脳炎や脳症(Southeast Asian J Trop Med Public Health 2001;32:341-5)。神経症状としては、
    単神経炎
    ADEM
    GBS
    筋炎
    低K性四肢麻痺
    外転神経麻痺
    小脳症状
    意識障害
    痙性四肢麻痺
    (Pract Neurol 2014;14:175:8) 各々の報告はここに引用されています。
  7. ウイルス性急性小脳炎の原因
    Varicella zoster
    EBV
    Measles
    Mumps
    Rubella Herpes simplex
    Coxaxkie
    (Cerebellum 2002;1:673-9より)
  8. Postinfective cerebellitisの原因
    Chickenpox
    Coxasckie
    EBV
    Mycoplasma pneumonia
    HIV
    (Arq Neuropsiquiatr 2001;59:616-8より)
  9. チチカカコ 
    アンデスのチチカカ湖ではありません。ちくま学芸文庫、中公文庫、角川ソフィア文庫、河出文庫、講談社学術文庫の頭文字で、学術・教育系で定評のある5社が企業の枠を越えて「これが教養だ!フェア」を開催。各文庫を代表する名作やロングセラーを10点ずつ、計50点をそろえてアピールしているそうでありますよ(2014年12月14日付け京都新聞書評欄で紹介されました。残念ながら、こういう企画自体を紀伊國屋書店の筆者の本棚には紹介できません。)。
  10. 労働安全衛生法の基礎
    産業医研修からポイントをいくつか。
    1). 労働基準法がベースにあって、契約期間や従事する業務、賃金などの労働条件は書面を交付する必要がありますが、派遣労働者は条件を明示されていないことが多いそうですね。筆者自身も今まで自分の書面を見たことはありませんねえ。
    2). 時間外労働の限度は次第に有名無実化しています。通常、1年間で360時間を上限とされていますが、36(さぶろく)協定で労働基準監督署に提出されている条件は、大手でも月に80-120時間が当たり前になっています(360時間以上になりますねえ)。
    3). 平成29年春に、一般の派遣労働者は一斉に契約更新ができなくなる可能性が出ています。
    4). 非正規でも半年以上働いていれば、日数は勤務期間により異なるものの、年次有給休暇を取得可能。(一方で、正規職員が退職する際に、目一杯に有給休暇を消化してひんしゅくを買うヒトも)
    5). 労災の認定はややこしい部分があります。昼休みにキャッチボールをしていてケガをしても業務外ですが、ボールを取りに行って側溝に躓いてケガをしたら管理責任を問われるため、労災の対象。同じように、雪のために通勤途上の施設外で転倒しても認定されませんが、一歩でも敷地内に入って転倒すれば対象。
    6).過重労働は派遣元だけでなく、派遣先にも安全配慮義務が課せられるようになっていますので、医療事務などで病院へ派遣されている場合、病院側も派遣労働者が労災を起こさないように配慮する義務が生じます。
  11. 深部銃創止血には圧縮スポンジ 
    米国FDAは2014年4月に「XStat」という止血器具を米軍が野戦治療に用いることを認可したそうです。これは血液凝固剤がまぶしてある圧縮されたスポンジのようなもので、腋窩や股関節などの深部の銃創や破片創を受けた際に、注射ポンプのようなもので深部までスポンジを送り込みますと、そこで膨らんで体表面からの圧迫では止血しにくい出血を止めるんだそうです(兵頭二十八「兵頭二十八の防衛白書2014」草思社)。これなら、出血部位不明な細い動脈なら止血できそうですから、通常のERや時には手術室でも効果があるかもしれません。