2015年1月号 NO.4
- PPMS類似のHereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroids
- 記念日の多い日ベスト5
- 患者さんの見送り方
- 脳・心臓疾患の労災認定基準
- 定常状態後の日米MS患者さんでのNatalizumabの薬理の違い
- 映画“Fury”(フューリー)
- 多発性硬化症での脳萎縮治療効果は障害に対する治療効果と相関
- アッシュコンセプト社製の傘
- 抗MOG抗体は立体構造依存
- GanciclovirはEAEに効果
- PETで活性化microgliaを画像化
- 京都市植物園前の北山通のラブホ
- PPMS類似のHereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroids なんていう今どきはやりの変性疾患も報告されています(Eur J Neurol 2014)。29歳時、左下肢の中枢性筋力低下で緩徐に発症。CSFではOCBが4本陽性。脳MRIでは大脳白質にspotty
lesionが散在し、脳梁にもT2高信号病変が認められます。PPMSの診断のもと、IFNβが投与されましたが、慢性進行性に経過。兄弟姉妹8人中5人がPPMSと診断されていて、これら5例でCSF1Rの遺伝子変異が認められました。
- 記念日の多い日ベスト5
11/11 30件
10/10 29
8/8 24
10/1 20
6/1 17
(TBS系列「News23」 2014/11/11より)
記念日は有料ですがだれでも登録は可能だそうで、日本記念日協会HPによりますと、11/11に登録されている記念日の中には、たくあんの日とか、チンアナゴの日、きりたんぽの日なんていう日があります。由来は知りませんが、サッカーの日や鮭の日、立ち飲みの日も11月11日の記念日。多くは「11」から、「まっすぐ」だから、という意味らしいです。因みに、1987年に出版されてブームになり、当時神奈川県立高校の教師で、後にシングルマザーになった俵 万智さんの歌集「サラダ記念日」は本当に設立されていて、7月6日。
- 患者さんの見送り方 は医師により千差万別のようですが、死期の近い患者の主治医でありながらほとんど病棟に顔を出さない、休日に電話で問い合わせることもしない、なんていうのは言語道断ですが・・・ご本人の苦痛を可能な限り軽減することは当然で、尿量が500
mLしかないのにIVHで同じように点滴して、毎日1 Lも水分バランスを陽性にして全身浮腫にするなんていう医師にも腹が立ちます。残される家族にもしっかり診てもらった、という印象を(最期に医療をtaperingしても)残すことは大切だと思うのです。「満足感」は大切ですよ。たとえ、誤解であっても・・・それが技術。
- 脳・心臓疾患の労災認定基準
厚労省や労働基準監督署などが定めているもので、そもそも対象疾病が規定されています。脳血管疾患の場合は、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症。もやもや病や慢性硬膜下血腫が労災の対象にならないのかどうかは不明です。過重労働が引き金になって発症した場合も労災補償の対象になります。まず、業務上の明らかな(仕事が発症の有力な原因であることが明確)過重負荷(自然経過を越えて、血管病変を著しく増悪させ得る客観的に明白な負荷)があること、発症直前から前日までに時間的・場所的に明確にし得る異常な出来事が存在すること、発症前概ね1週間に過重業務に従事していたこと、発症前6ヶ月間に渡って著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労していたこと、が認定要件とされています。最後の条件はしばしばメディアでも話題になりますが、1ヶ月当たり、概ね80時間を越える時間外労働が認められる場合とされています。
- 定常状態後の日米MS患者さんでのNatalizumabの薬理の違い
6ヶ月後の違いです。一目瞭然！こんなに違うなんて知らなかった！要するに、臨床試験の時の登録されたMS患者さんの体重の中間値が20 kgも違うことが大きいのでしょう。日本人患者では立ち上がりの濃度が高いだけでなく、血中濃度の低下にも時間がかかる！それぞれ臨床試験の結果です。
Cmax (μg/mL) t1/2 (hours) study 米国人 94.7 ± 34.2 265 ± 98 C-1801 日本人 148.6 ± 37.5 397 ± 109 Phase IIa study
- 映画“Fury”(フューリー) を見てきました。ブラッド・ピット主演で製作にも加わっています。戦争のむなしさ、愚かさをいやっと言うほど描いていますし、リアルで少しグロな場面も。前日の深夜のTVの映画評論番組で、石田純一さんがベンジャミン・フランクリンの言葉を引用していました。脚本通りなんでしょうけどね。「良い戦争や悪い平和なんてあったためしがない」
一方で、「進歩を阻むすべての不正義の戦争には反対するが、進歩的な正義の戦争には反対しない」これを言ったのは、毛沢東。為政者は常に、そう言います。
- 多発性硬化症での脳萎縮治療効果は障害に対する治療効果と相関
イタリアのProf Sormaniによるシリーズ第4弾。13500例以上のRRMS患者を対象とした、13試験をメタ解析(Ann Neurol 2014;75:43-9)。障害度進行への治療効果は、脳萎縮に対する治療効果(R2 = 0.48, p = 0.001)および活動性脳MRI病変に対する治療効果(R2 = 0.61, p < 0.001)のそれぞれと相関し、しかもそれぞれが独立して相関していることが証明されました。この結果から、臨床試験で障害度進行への抑制効果を評価するためには、脳萎縮に対する治療効果と活動性脳MRI病変(new or expanding T2 lesions)に対する治療効果との２つを評価することで、より正確な情報が得られることが解りました。治験のデータを利用した、この領域での今までのSormaniさんの報告(彼女のグラフは有名)は、
Neurology 2010;75:302-9.
Ann Neurol 2009;65:268-75.
Lancet Neurol 2013;12:669-76.
他に、個人レベルでのMRI病変に関する研究としては、Mult Scler 2011;17:541-9.
- アッシュコンセプト社製の傘
傘を広げると金属部分が外側に開きます(つまり、傘の上方に金属の骨組みがむき出しに)。降雨後に傘をたたむと濡れた金属側が内側になり、外側が濡れていません。しかも自立するので、そのまま床に立てておけます。「UnBRELLA」 340 g。色はなぜか全て青系で、ライトブルー、ネイビー、ターコイズ。9720円。(http://h-concept.jp/fs/hshop/c/unbrella) 4ヶ月待ち。人気商品ですが、たたむ際に、中心部から雨が取っ手に漏れるので、たたむときは下向きで。(金沢HAB TV「なるみ、岡村の過ぎるTV」 2014年12月6日放映から)
- 抗MOG抗体は立体構造依存 ということを改めて証明した報告が出ています(J Immunol 2013;191:3594-604)。なぜ、AQP4やMOGはcell-based
assayが常識なのに、日本ではNMDARだけはいつまでも定着しないのでしょうか？ また、ヒトで見出される抗MOG抗体のほとんどはマウスやラットのMOGを認識できないため、動物実験が困難であることも示されました。これは両者で免疫原性の強い、病原性も強いMOGのエピトープが異なるため。
- GanciclovirはEAEに効果
cytomegalovirusやEB vurus, HSVといったヘルペス系ウイルスに対する治療薬である、ganciclovirをMOGペプチドによるC57BL/6マウスのEAEに免疫後に投与しますと、発症率を激減させ、発症しても重症度を低下させることが判りました(J Exp Med 2014;211:189-98)。これはTリンパ球の浸潤を抑制するため。機序は不明ですが、活性化したmicrogliaの増殖を抑制します。SPMSなどの進行例では活性化microgliaのマーカーがCSFで上昇していますから(Clin Exp Neuroimmunol 2014; )、ganciclovirで今のところ治療法のない進行例に試みる価値はないでしょうか？
- PETで活性化microgliaを画像化
できることが報告されています(Brain 2000;123;2321-37)。活性化microgliaのperipheral benzodiazepine受容体に結合するligandを使用。
- 京都市植物園前の北山通のラブホ
ホテルマイアミ。部屋の中に鏡で囲まれた、回るコーヒーカップがあるんだそうな(いえ、私は知りませんよ)。メルヘン過ぎるラブホテル、として紹介されました。純和風の部屋もあるそうな。
伏見区のHOTEL Lotus 327号室(だったかな?)。豪華な旅館風。80インチのTV。サウナ、岩盤浴、露天風呂まで設置。週末は29800円から。ホテル内にはエステ施設も。大人のディズニーランドを目指しているんだそうな。(金沢HAB TV「なるみ、岡村の過ぎるTV」 2014年12月6日放映から)
