2015年1月号 NO.2
- ティーカッププードルが人気
- 深海生物であるオニアンコウの雄の人生って・・・
- 昭和を思い出す・・・
- 緯度が高くなるとMS有病率が多なくなる原因は必ずしも不明確
- 再発頻度とビタミンD値が逆相関
- 再発の季節変動は緯度に依存
- 宝くじの仕組み
- Normal brainでもJCV DNA
- 長期間、生の魚の鮮度を保つ方法
- フマル酸投与によるリンパ球低下とPML発症
- 特発性CD4陽性リンパ球減少症でPMLが発症
- 京都人気質
- JCウイルス中和抗体価とPML riskが相関
- 150-300人の従業員のトップはどうあるべきか?
- 食塩過剰摂取はMSの疾患活動性を増悪
- ティーカッププードルが人気
300-500 g程の子犬はティーカップに入るほどの大きさなので、両手で4匹を抱き上げられます。基本的にプードルなのでぬいぐるみのような愛らしさ。
- 深海生物であるオニアンコウの雄の人生って・・・
そもそも雌の数十分の一の大きさで、生殖の際には雌の体にくっついて、やがて皮膚も血管も一体化して、雌の体の一部になってしまい、「人生」を終えます。究極的な「ヒモの人生」?
(TBS系列「夢の扉」2014年12月14日放映の「東北の海底は今・・・がれきは?魚は?」より)
- 昭和を思い出す・・・
テレビコマーシャルが多いことに改めて驚きます。他に思い出せません。(それほどに、テレビっ子だったとも思えないのですが、影響が大きいってことでしょうか?社会学的にも・・・)
「Oh! モーレツ」(小川ローザのCF)
「俺がこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー」(前田製菓が提供していた「てなもんや三度笠」に主演していた、藤田まことさんのCFの言葉)
「手を挙げて横断歩道を渡りましょう。松崎真でございます。」(「笑点」5代目の座布団運び-13年間も。ただ6代目は30年も継続中-をしていた、松崎さんの毎回同じ挨拶の言葉)
「元気はつらつ、オロナミンC」(大村崑)
もっとも、「一点突破、全面展開」とか、「造反有理」なんていう言葉もありましたが。
- 緯度が高くなるとMS有病率が多なくなる原因は必ずしも不明確
一般的には日光照射量や紫外線照射量との関連が示唆されていますが、筆者らは日本人の都道府県別データから、日本人MS患者数は緯度との相関ほど紫外線照射量との相関が強くなく、他の因子の関与も想定されるのではないか、と考えています。国内でのデータがないので欧米でのデータから類推するしかありませんが、たとえばEBウイルスの社会での蔓延の程度の緯度による違いの影響(欧州では高緯度地域ではEBV抗体陽性率が高い)もありうるのではないか、と考えています。
緯度との関連ではMS有病率だけでなく、CIS自体の頻度も違うとか(Ann Neurol 2007;61:504-13)、ビタミンD値が低いと再発リスクが高くなる(Ann
Neurol 2010;68:193-203)、といった報告もあります。
- 再発頻度とビタミンD値が逆相関 という報告が成人MS患者だけでなく(Ann Neurol 2010;67:618-24)、小児例でも報告されています(Ther Adv Neurol
Disord 2012;5:187-98)。
- 再発の季節変動は緯度に依存
ビタミンDの影響なんでしょうが、究極的な論文とも言えますね(Speleman, Gray, et al. Ann Neurol, in press)。30ヶ国の9800例余りの患者の32762回の再発を解析。北南半球とも春に多く、秋に少ないことが判明。紫外線照射量の最低値から再発までの平均期間は、2.72ヶ月。緯度が高くなるほど、紫外線照射最低値から再発までの期間が短縮。赤道から10°緯度が高くなるごとに、この期間は平均28.5日短縮(95%CI:
3.29-53.71, p = 0.028)。
- 宝くじの仕組み
「年末ジャンボ」の季節です。だからでしょうか、北陸中日新聞がカラー版別紙特集を挿入していました(この新聞の内容は、外国人特派員からも評価の高い東京新聞と同じ紙面なのでしょうか?)。全国自治宝くじが有名ですが、栃木県が発売元の「レインボーくじ」というものもあって、収益金は全国の長寿社会対策や栃木県内にある自治医大運営のために使われるそうであります。
宝くじの全ての収益金9444億円のうち、経費は1245億円のみで、発売元へ収益金として還元されるのが3804億円。当選金として配分されるのは4395億円(46.5%)にすぎません。その上、当選金の支払期間は1年なので、時効当選金が2013年度だけで163億円もあります。これって、どこへゆくんだろ?多分、発売元なんでしょうねえ。
世界でも富くじは販売されていて、なんと、100ヶ国・地域で発売されています。人口一人当たりの販売額ベスト5も発表されています。日本は8253円で第7位。意外に高いと思いました。分母は未成年や施設に入っている高齢者なども含めていますから。
一人当たりの販売額
第1位 イタリア 50857円
第2位 スペイン 33345
第3位 フランス 27224
第4位 米国 22672
第5位 英国 18210
国家の財政収支に問題のある国民性だからでしょうか、イタリア、スペインなどラテン系が突出しています。
- Normal brainでもJCV DNA が見出されることが報告されていますが、ウイルス蛋白はありませんので(Ann Neurol 2008;64:379-87)、増殖はしていないようです。
しかし、それ以前に、実は68-96歳の10例中3例の脳のグリア細胞でJCV DNAだけでなく、蛋白も見出された、という報告が日本からあります(Ann
Neurol 1991;29:428-32)。これらの人たちは神経症状を呈してはいないのですが、小さな脱髄病変があるので、subclinical
PMLではないか、と。
- 長期間、生の魚の鮮度を保つ方法 を北九州市の丸福水産・最上賢一会長が発明しました。遠洋漁業でとったマグロは船上で直ちに冷凍されます。凍結すると、どうしても水っぽくなります。近海でとれたマグロでも生のまま20日間鮮度を保てるそうですし、傷みやすい鯖でさえ5日間保持できるんだそうで、革命的な発明。窒素のナノバブルを作成する装置を開発することで可能に。水槽の中に吹き込んだ窒素が水中の酸素と結合し、浮き上がって空中に放出され、水槽中の酸素をほぼゼロにできるんだそうですね。酸素がなくなると、魚はどうなるのか、ちょっと不思議ではありますが・・・水面で呼吸しているんでしょうか?(TBS系列「夢の扉」より)
- フマル酸投与によるリンパ球低下とPML発症
grade 3 (500/mm3以下) のリンパ球低下が6% (9/144例)のフマル酸を投与されたMS患者で認められ、55歳以上では若年者よりgrade
3のリンパ球低下がより認められています (p = 0.034)。さらに、3年半に渡り、リンパ球が290-580/mm3と低下していた、54歳の本剤治療中の患者が治療開始から54ヶ月後にPMLで死亡したと報告されています(Longbrake
EE, Cross AH. Dimethyl fumarate associated lymphopenia in clinical practice.
Mult Scler, in press)。フマル酸を投与された乾癬患者でPML発症例が知られていますが、これらの患者でもリンパ球が低下していたそうな(N
Engl J Med 2013;368:1657-8; N Engl J Med 2013;368:1658-9)。
- 特発性CD4陽性リンパ球減少症でPMLが発症 という報告があります(J Neurol Sci 2013;327:75-9)。
- 京都人気質
あらかじめお断りしますが、これは京都市内で生まれ育った神経内科医が自嘲的に喋った言葉。「京都人はプライドが高く、ケチ」
- JCウイルス中和抗体価とPML riskが相関
JCVを中和できるエピトープに対してモノクローナル抗体を作製して患者さんで調べたところ、PML riskと相関するという報告が出ています(Antivir
Res 2014;108:94-103)。通常のJC virus抗体価と中和抗体価は相関しないそうな。
- 150-300人の従業員のトップはどうあるべきか?
「ガスト」や「バーミアン」など10ブランド、3000店を全国展開している、すかいらーくの谷 真社長によれば、(従業員を褒めてばかりで大丈夫ですか、と問われて)「企業はある時期、ワンマンでなければいけないけれど、9万人もの規模の企業ではそんなことできません。私も150-300人の頃はワンマンでした。この規模の企業だったら、社長はワンマンでなければいけません。」
32. 食塩過剰摂取はMSの疾患活動性を増悪 塩分の過剰摂取はEAEを増悪させ、ヒトやマウスのTh17を分化させるという衝撃的な報告がProf
Haflerから出た(Nature 2013;496:513-17; Nature 2013;496:518-22)後、MSではどうなのか興味が持たれていましたが、報告が出ました(Farez,
Fiol, et al. JNNP, in press)。動物実験とは異なり、塩分摂取量を測定したり、調整することはヒトではできません。そこで、彼らが採用した方法はスポットの尿を調べることで全体の摂取量を類推すること。この方法は日本人の報告です(Tanaka,
et al. J Hum Hypertens 2002;16:97-103)。70例のRRMS患者さんを2年間観察し、Na摂取量を2 g/day以下、2-4.8
g/day、4.8 g/day以上の3群に分類。再発頻度がlow groupに比して、mediumとhigh groupではそれぞれ高いことが判明。それぞれ再発はlow
groupに比して2.75倍(95%CI: 1.3-5.8)と3.95倍(1.4-2.75)。また、high groupでは脳MRIで3.4倍新病変が出現。