2014年10月号 NO.4
- 海外旅行用にもいいかも
- 慢性蕁麻疹への抗ヒスタミン(H1ブロッカー)とH2ブロッカーの併用療法
- MS診療の誤解
- ありがた迷惑なサービスベストテン
- 女子アナと女性キャスターの定年
- ブリリアントブルーで脊損治療
- 半世紀以上、間違って認識されていたこと
- 海外旅行用にもいいかも
当院看護部が病棟でこんなのいいんじゃないかと相談していた商品がこれ。ユニチャーム 「ライフリーおしり洗浄液」別に300mlと少し大きすぎるボトルで1プッシュ(35 mL)/水100 mLに溶解して使用。ウオッシュレットのない海外旅行には便利かも・・・ただ、便器に座ったままボトルのノイズを肛門へ向けた際、角度をつけないと自分の手に洗浄液が落下します(天に唾する、逆バージョン)。不便なことに、そういう使い方を想定していないため、シャワーボトルのノズルはまっすぐ。曲がっていた方が臥位でも使いやすくはないでしょうか?水100mLは現地調達とし、原液を35 mLずつ小分けしたジッパー付きの小袋をもってゆき、直前に100 mLのレベルをマークしておいたシャワーボトルで溶液を作製すれば、マイ・ウオッシュレットが海外で可能、ではありません?
- 慢性蕁麻疹への抗ヒスタミン(H1ブロッカー)とH2ブロッカーの併用療法
抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤で効果が認められない蕁麻疹では、上記の併用療法で蕁麻疹が改善することがあるそうです。皮膚の血管内皮細胞には両者のレセプターが存在しているので、併用することによりヒスタミン刺激による皮疹を効果的に抑制できるという仮説に基づいているそうです。他の作用としては、
2). H2拮抗薬が肝臓に作用して薬剤の代謝を遅延させて作用するH1拮抗薬の血中濃度を上昇させる。
3). 細胞性免疫を介する
4). 胃酸の分泌を抑制して皮疹を改善させる (薬事 2012;52:303-7)
この併用療法は日本皮膚科学会の蕁麻疹診療ガイドラインにも記載されています(日皮会誌 2011;121:1339-88)。推奨度:C1, エビデンスレベル: II 主な引用文献は結構古いです。新しいところでは・・・J Allergy Clin Immunol 1995;95:685-93; Eur J Clin Pharmacol 1986;31:277-80.
- MS診療の誤解
チップスともいうべき項目ですが、解答は本誌読者の皆様ならご存じと思います。思いつくままで順序不同です。日頃、驚くような紹介状が迷い込むことから、まとめてみました。もちろん、誤解している医師の%は項目により様々。
1). 脳MRIで所見がないとMSとは言えない。これはMcDonald診断基準への誤解?
2). 1)とも関連しますが、McDonaldの診断基準を満足しなければ(CDMSを定義した第1項目も無視されて)、MSを除外できる。(除外基準でもないので、二重の誤解)
3). McDonaldの診断基準を満足する内科的疾患が存在するので、この診断基準には限界がある。(MSはあくまでも除外診断なので、当たり前)
4). 抗AQP4抗体が陰性ならば、NMOを除外できる。
5). 抗AQP4抗体の感度は、ELISAもCBAも同一である。ELISAで陰性なら、CBAでも陰性である。
6). MSは自己免疫疾患なので、再発予防には経口ステロイドが効く。
7). 脳脊髄液でのOCB検査はどこで検査しても感度は同一。
8). 日本人RRMS患者のOCB陽性率は欧米患者と差異はない。日本全国、どこでも陽性率は同一。
9). OCB陽性なら、NMOではない。
10). CISなら(単峰性視神経炎あるいは脊髄炎単独でも)、MSへのconversion予防のために、MSのDMTを全例に始めるべきである。
11). 一側上下肢の脱力を診みたら、MRIは脳を撮影するべきである。
12). 再発症状出現直後、脳あるいは脊髄MRIで造影病変を検出できなければ、再発とは言えない。
13). BBBをリンパ球が越える際の血管内皮細胞の部位は、tight junctionである。(Biogen本社制作のNatalizumab作用機序のパンフレットも誤解を助長)
14). 脊髄の3椎体以上に連続する長い病変は消失しない。脊髄MRIのsagittal sectionのみで診断が可能である。
15). 欧米患者と同様に、日本人RRMS患者の1/2はSPMSへ移行する。
16). 抗NMDA受容体抗体と脱髄病変は無関係である。
17). RituximabやNatalizumab投与患者でPMLが発症しているけれども、薬剤との因果関係が明確であるという証拠はなく、PML発症は偶然の賜である。
18). RituximabはNMOに、NatalizumabはMSにドラスティックな効果があり、投与中は再発しない。
19). 基礎疾患や薬剤治療歴など、報告されているリスク因子が全くない患者でPMLは発症しないので、リスクがない限りMSの鑑別にPMLの考慮は必要がない。
20). MSの再発はステロイドパルスで必ず症状は回復し、NMOの再発では再発予防治療の有無にかかわらずパルスの効果はない。
21). NMO再発時のプラスマフェレーシスは100%効果がある。
- ありがた迷惑なサービスベストテン (リクルート調べ)
第1位 アパレル店で「何をお探しですか?」(構わないでくれ)
第2位 アパレル店で購入後の店先までの見送り(京都市内の老舗のお店でも)
第3位 タクシーであれこれ話しかけてくる(確かに、時にうざい)
第4位 美容院であれこれ話しかけてくる(確かに、放っておいて欲しいときも)
第5位 飲食店で注文時の「はい、喜んで」(京都では居酒屋でも聞いたことがない)
第6位 レジでお釣りを渡すとき手を添えてくる(相手によっては気持ち悪い)
第7位 コンビニで商品によって袋を分ける(冷たい物と暖かい物は分けるでしょうが・・・)
第8位 お釣りを渡すとき紙幣を小銭の下敷きにする(別々に渡す方が多いですが、下敷きはこっちで分けるとき、両手を使わないといけなくなるので時間がかかりますな)
第8位 美容院でワックスなどを使ったスタイリング(知らんがな)
第10位 タクシーで「道順はどうしますか?」と聞いてくる(自信がないのか、うるさい客が多いのか?意図的に遠回りしたと言われたくないのでしょうな)
(日本テレビ系列「月曜から夜ふかし」より)
- 女子アナと女性キャスターの定年
「小針浜通信」時代に女子アナ30歳定年説を記述しましたら(それまで週刊誌に記載はなかったように思うのですが)、直後に週刊誌で大々的に記載されたことがあります。何となく感じるところは同じなのかもしれません。今回は女性キャスターの定年問題。現在のところ、多くはアナウンサー出身で必ずしも報道記者出身者は育ってはいないようには思うのですが、40歳前後で第一線を退かされることが多いように思われます。やはり、見栄えの問題?テレビ局上層部の感覚に問題?東京都議の「結婚しないのか」発言と同じで、「女性は子供を産む機械」発言と同レベルなのかも・・メディアの批判が弱いことにも理由があるような気がします。朝日新聞でさえ、東京都議会や知事と変わらないのではないか、と。
- ブリリアントブルーで脊損治療 という報告が出ています(PNAS 2009;106:12489-93)。ラットでの実験です。BBBを色素が越え、治療効果を発揮するんだそうですが、ラットはblue
eyeになります。ネットに青目のラットの写真が出ています。脊髄損傷にステロイドのメガパルスは効果がないとされたと思います。他に治療法がなく、効果があるようなら治験は施行されたのでしょうか?ヒトではやはり困るのかな?
- 半世紀以上、間違って認識されていたこと という特集がありました。
1). 「銀ブラ」 銀座をブラブラ歩くことだと思っていましたが、実は「銀座でブラジル珈琲を飲むこと」なんだそうで・・・大正時代、現存している明治43年創業の「銀座カフェーパウリスタ」でブラジル珈琲を飲むことを当時の学生達が「銀ブラ」と略したもの。諸説あるそうですけどね。
2). 鮭は赤身か白身魚か?鮭は白身魚。餌であるオキアミなどに含まれるアスタキサンチンという色素が白いはずの身を赤く染めているため。
3). 「かんぺき」 漢字で書くと完壁ではなくて、完璧。
4). 「白金」 普通、東京のこの地名を住民でさえ「しろがね」と読んでいますが、東京都港区に「しろがね」という地名はありません。正しくは「しろかね」。ある女性ファッション誌の造語「シロガネーゼ」により定着したもの。
5). 「どんぐりころころ」 「どんぐりころころどんぐりこ、御池にはまってさあ大変」と覚えてませんか?間違いデス。正しい歌詞は「どんぐりころころ どんぶりこ」。どんぐりが池に落ちた音を表現した、擬音語。そんな音がするほど大きくはないですけどネ。
6). 線香花火のような手持ち花火に火を付ける場所をご存じでありましょうか?先が紙になってますね?あそこは火を付ける場所ではありません。筆者も知りませんでしたが、導火線にしては変だと思いません?あの紙は火薬を保護する「花びら紙」という代物で、紙を剥いて着火しなければいけないんだそうな。取説にはちゃんと書いてあるそうでありますヨ。
7). 豆乳の注ぎ方 豆乳だけではないのですが、一斗缶のように、注ぎ口が端に空いている容器の場合、注ぎ口を下にして注ごうとしますと、液体が波打って場合によっては撒き散らしてしまう危険さえありますネ。注ぎ口を上にして注ぐと、ボタボタしないできれいに注ぐことができます。出口を液体で塞がないので、空気が入りやすいためなんでしょうな。これは容器製造業界からのお奨めの注ぎ方だそうでありますヨ。 (日本テレビ系列「月曜から夜ふかし」より)