2014年10月号 NO.1

  1. NMOへのTacrolimus治療 2
  2. Oceans of Hope
  3. 3年ぶりのECTRIMS/ACTRIMS2014合同大会
  4. MSでは腸内細菌叢が治療対象に?
  5. CNNはISIS(アイシスと言ってました)ばっか
  6. JAL畿内で見た映画
  7. 神経免疫学会と神経感染症学会との合同学術集会
  8. 珈琲でPMLの治療ができる!?
  9. 次回の神経免疫学会と神経感染症学会の予定
  10. May J.は本当に凄い!
  1. NMOへのTacrolimus治療 Tacrolimus治療上で留意するべきことは・・・
    1). 1日朝、昼、夕の3分割で投与する医師もいらっしゃいますが、後で血中濃度を測定する上で困ります。外来で濃度チェックすることを考慮して、夕食前1回内服にするべきです。
    2). 処方箋に夕食前と記述した場合、薬剤師の常識では食事摂取30分前なんだそうです。院外薬局の中には食直前に飲むように指導した薬剤師さえいました。
    3). 食事摂取との間隔は1時間以上開けて下さい。仕事の都合で、夕食の摂取時間が一定でない場合、むしろ内服時間を16時とかに一定するようにして下さい。スマホのタイマー機能を利用する方法もあります。
    4). トラフ値で3-7 ng/mLを目標に内服量を調整します。3-6 mg投与することになります。
    5). 午前10時に採血した場合、トラフ値より平均で1 ng/mL高くなることに留意。ぎりぎりの値ではないほうが良いでしょう。
    6). 投与量に比して血中濃度が高い場合、代謝産物との交叉反応を起こしている可能性にも注意する必要があります。
    7). 半減期がおおよそ36時間ほどなので、毎日服用しても定常状態に達するまでに1週間かかることになりますので、血中濃度の確認には薬剤量変更の1週間以上経過してから採血するべきでしょう。
    8). 飲み忘れた場合の血中濃度への影響について。FDAに提出した薬理学的データから計算しますと、5 mgを内服した場合、血中濃度の定常状態での理論値は、連日投与で3.80 ng/mL、1日休薬した場合で3.35、週末土日とか2日休薬した場合は一挙に低下して2.40に。患者さんによっては週末外出中の飲み忘れもありますので、きちんと内服する癖を付けることが大切。
  2. Oceans of Hope
    A global voyage to change perceptions of multiple sclerosis
    (http://www.sailing-sclerosis.com/oceans-of-hope/)というイベントがALSの”Ice backet challenge”に隠れていましたが、静かに実行されていました。多発性硬化症患者さんたちが交代で大西洋をブラジルまでヨットで全行程61000 km往復する行動で、6月15日にCopenhagenから出港し。9月8日にBostonに到着し、11日(実に9/11 !)のMSBoston2014のopening ceremonyでLocal Commitie ChairのProf. Weinerから到着メンバーが紹介されました。4000名以上のECTRIMS/ACTRIMS/LACTRIMS参加者らのstanding ovationで迎えられました。その時の写真が上記のHPに出ていますが、筆者が小さく写っているはずです。
  3. 3年ぶりのECTRIMS/ACTRIMS2014合同大会 が米国Bostonで開催されました。毎年ECTRIMSは1000演題が発表されますが、3年毎に欧州と北米とで交互に開催される合同大会は次第に参加者が増加し、今回は事前登録だけで9000名に達し、巨大な学術集会に成長しました。今回の内容から・・・

    1). International PanelによるNMO spectrum disordersのnew criteriaがNeurologyに投稿されていますが、大会時点ではまだacceptされていないそうです。なぜ、従来のWingerchukらのcriteriaの改定が必要なのかについて、同メンバーでもあるWeinshenkerはeducational courseで特にNMO limited型や大脳症状のみしか呈さない、cerebral aquaporinopathyのような病態、重症筋無力症などの他の自己免疫疾患を合併しているような場合、従来の診断基準では該当しないため、と。  
    NMOsdの診断に当たってのred fragsは、進行性経過、脳梗塞のような突発的な発症、発症から4週間以上進行する経過、long spinal cord lesion (LCL)を伴わない横断性脊髄炎、MSに典型的な脳病変、無症候性脊髄病変、を挙げました。最近、あちこちで強調されていますが、小児発症NMOでは基本的には成人発症NMOと同じなのですが、LCLだけはMSでも出現するとされていることに留意する必要があります(TC6.1)。炎症反応が強いためでしょうか?  
    今回の改訂では抗AQP4抗体の有無で診断条件を設定していますが、LCLを項目から外しています。2014年のAANでWingerchuk教授はこの診断基準を紹介しましたので、筆者がClin Exp Neuroimmunolに執筆したCongress ReportでTableとして紹介しましたが、彼自身がスライドを一瞬出しただけで一切の説明をしなかったため、スライド内容だけを紹介しました。教育講演の直前にLCLは早期診断には使用できないためか、と藤原教授にお聞きしましたら、論文の中にLCLの重要性は記載されてはいるそうで、McDonald基準から外れた神経生理検査とは立場が違うようです。

    2). 続いて登壇された東北大の藤原教授は、seronegative NMO患者のCSFで抗AQP4抗体が見出されることは稀であり、抗MOG抗体陽性自験27例で脳幹発症例はないこと、抗MOG抗体陽性例では視交叉炎を呈さないこと、東北大・ブラジルシリーズ(Satoら)では抗AQP4抗体と抗MOG抗体両者が陽性となる患者はいなかったことが示されました(TC6.2)。Cell-based assayによりdouble positiveになった2例を経験しNeurologyに報告していますが、別記するような状況で誤解される危険性があります。

    3). 英国のDr PalaceはOxfordでのデータではNMOへの治療後のARR低下は米国の80%に比して30%台と低いことを紹介(恥ずかしいようなデータをきちんと出したことは立派。おそらく医療制度の問題もあるでしょうが、米国が良いとも思えないけれど。使いたいけれど、保険が利かないなどの問題はどちらも同じような気はします)。妊娠に関するFDAのカテゴリー分類でAzathioprineはD、CyclophosphamideはC。NMOにNatalizumabを投与すると悪化するという報告はすでに6つもあるそうな。Alemtuzumabが微妙で、橋本病が16-30%、ITPが1-3%に出現することから(リンパ球が消失してから増加するときに自己抗原反応性クローンが立ち上がりやすいようで)、NMOではリスクが高いと考えられ、Neurology 2011;77:573-9; Arch Neurol 2011;68:1207-9に報告されていますが、Gelfand & Creeは14ヶ月間再発しなかった抗AQP4抗体陽性NMOをECTRIMS2012で症例報告しているそうです。ちょっと不思議な感じ。たまたまなのか、軽症例だったのか・・・NMOへのClinical Trialではplacebo対照よりadd-onのほうが安全だし、あるいはhead to headでstandard drugを対症薬とするべき、と。当たり前です!市中肺炎への抗生剤の治験でプラセボを使うか?評価法としては再発回数より、再発までの時間にするべき、と。(TC6.3)

    4). 小児期発症MS関連の教育コースはLondonのDr Hemingwayのchairで開催されましたが、講演した3名とも女性。Hemingwayは小児期のこの領域の特徴として、
    ① ADEM(英国人の彼女も米国東部の人たちも「アーデム」とは言わず、「エイデム」と発音していました。今度からエイデムと言おう!因みに、筆者は今春から始めています)の5%は再発する、と。
    ② 小児期発症MSのピークは16-17歳で、12歳以下は稀(Harding et al. JNNP 2013)。本当の小児は欧米でも稀なんですな。
    ③ 小児CIS時、0.7 (Lancet Neurol 2011;10:1065-73) -4.4 (JNNP 2014 in press) %は抗AQP4抗体陽性。
    ④ 抗MOG抗体陽性視神経炎Plus(他の神経症状合併例)はステロイドの効果が顕著で、予後良好の予告因子。
    ⑤ 抗NMDAR抗体陽性で脱髄病変を呈することがある、と。(Hacohen et al. Neurology in press)(筆者らも報告してまっせ!(本山りえ、白石一浩、田中恵子、木下真幸子、田中正美:痙攣と視神経炎を反復した抗NMDA受容体脳炎の10歳女児例。臨床神経, 2010;50:585-8.)
    ⑥ 小児期特有の鑑別として、MELAS、Magnesium transporter defect、LBSL (Leukoencephalopathy with brainstem and spinal cord lesion with elevated lactate)、Biotin responsive basal ganglia diseaseを挙げました(TC8.1 Hemingway C)。

    5). 小児期発症MSと成人発症MSは同じ疾患か異なる疾患か?The same?
    Yes   risk factorや再発寛解の臨床経過、治療への反応
    No   炎症反応が強い、再発回数が多い、抗MOG抗体陽性、Th17関与の強さ、認知機能障害が目立つ、教育や成長への影響、薬理学的相違。  
    成人患者に対しては、DMTとしてFDAは10薬剤、EMAは11薬剤を承認しています。小児MS患者さんを対象とした、IFNβのretrospective studyはBanwellやWaubantら4つのグループから報告があります。小児期発症MSを対象とした治験は患者数が少ないこと、評価法をどうするか、倫理的な問題から困難が予想されますが、以下の論文が紹介されました。 Verhey LH, Signori A, Arnold DL, Bar-Or A, Sadovnick AD, Marrie RA, Banwell B, Sormani MP. Clinical and MRI activity as determinants of sample size for pediatric multiple sclerosis trials. Neurology. 2013 Oct 1;81(14):1215-21 (TC8.2 Chitnis T)

    6). Acute demyelinating syndromeとしては、transverse myelitis, ADEM, optic neuritis, monofocal demyelination, polyfocal demyelinationが含まれます。Sadaka (Ann Neurol 2012)によりますと、ADEMとの鑑別は2005年と2010年のMcDonald診断基準の特異性と感度はそれぞれ、91%、86%と91%, 100%。11歳以上ならば、MRIscanを適用すれば、2010年の基準は使える、と。脳MRIではPML, 片頭痛、PRESは間違えやすい、と。8年経過のMSで瀰漫性病変を呈した患者もいることが指摘されました。ほかに、SLE, primary angiitis, MELAS, NARP, isolated small vessel CNS vasculitisも鑑別に重要と指摘されました。Vanishing MS T2-bright lesions before puberty (Neurology 2008;71:1090-3)も紹介されました。小児MSでも神経変性は重要で、1年で脳室拡大や脳溝開大を呈することもあり得ることが強調されました。 (TC8.3 Banwell BL)
  4. MSでは腸内細菌叢が治療対象に? 
    2014年のECTRIMS/ACTRIMS合同会議でも腸内細菌叢が変化していて、免疫担当細胞に影響していることが示唆される演題がいくつかありました。すでに、腸疾患やMSなどで治療の試みもされています(Gastroenterology. 2013;145:946-53)。
    Bhargava P, Mowry EM. Gut microbiome and multiple sclerosis. Curr Neurol Neurosci Rep 2014;14:492.
    Joscelyn J, Kasper LH. Digesting the emerging role for the gut microbiome in central nervous system demyelination. Mult Scler in press.
    Wang Y, Kasper LH. The role of microbiome in central nervous system disorders. Brain Behav Immun 2014;38:1-12.
    Thomas J. Borody, Sudarshan Paramsothy, and Gaurav Agrawal. Fecal Microbiota Transplantation: Indications, Methods, Evidence, and Future Directions. Curr Gastroenterol Rep. 2013; 15(8): 337.  
    まず、患者が家族や友人からドナーを選び、便から細菌を分離してチューブで投与します(カプセルでも嫌)。一度、-80℃に凍結すると臭いが軽くなるんだそうな。でも、ネ、当然のことながら殺菌はできないので、HIVなどのウイルスは入ってきます。気分は一蓮托生。

  5. CNNはISIS(アイシスと言ってました)ばっか 
    TVの中では際だって湾岸戦争を支持したFOX newsはチェックできませんでしたが、CNNの報道はイスラム国(ISIS)ばかりで、以下に危険な存在であるかを繰り返して報道しています。イスラエルを防衛する意図は明らかですが、宗教戦争になってしまうのでイスラエルが参戦することも嫌でしょう。そのために、サウジやトルコなどのイスラム周辺国の了解を取り付けたのですから。CNNの報道によれば、機種は不明ですが、オーストラリアは空軍を派遣するそうですし、対ISIS開戦宣言を日本と韓国も支持したと報道されました。有志連合、とか国内では報道されていました。変わった言い方を米国のTVでは言ってなかったように思いますが・・・  
    西アフリカのEbolaなんて全く気にもとめられていません。USA Todayでも扱いは小さく、どうせ旅行者に紛れ込んで入国したとしても対応は十分にできるさ、と高をくくっているように思われます。初期対応の遅れを非難されているWHOと、初期から苦しい孤立無援の戦いを強いられている「国境なき医師団」だけが、警告を発しているだけのように見えます。ウイルスは体内で急速に変異を繰り返していて、せっかく生産し始めたワクチンの効果が心配されています。多くの場合、SARSのように自らの生き残りのために弱毒化する可能性が高いようには思えるのですが、今のところ、そうではないようです。ついに、ペンタゴンは3000人の米軍派遣を決定しました。生物兵器への転用への危険性を最も危惧している組織。
  6. JAL畿内で見た映画 
    ドリュー・バリモア主演のラブコメ「Blended」。2人と3人の子持ちの男と女のお見合いの失敗から始まって、アフリカ旅行(テーマパークみたいな場所ですが)をすることに。長女役の若い女優さん(ベラ・ソーン)が綺麗です。
    キャメロン・ディアス主演の「The Other Woman」は三角関係の中心にいる男を妻と二人の愛人が懲らしめる、コメディー。  
    「Draft Day」 アメフトのドラフト会議を舞台に緊迫のやりとりを描いた、ケビン・コスナー主演の新作。今までのドラフトの歴史も描かれています。  
    ニコール・キッドマン主演「グレース オブ モナコ」 モナコ公妃となったグレース・ケリーは」結婚6年後に危機を迎えます。時はアルジェリア戦争。戦費の負担にあえいでいたフランスのド・ゴール大統領はモナコに税金をかけようとし、国境を警察に命じて閉鎖します。水・電力・食料を完全にフランスに依存していたモナコは窮地に陥ります。ド・ゴールが進軍を命じれば合併される危機に。13世紀以来、知恵を働かせてルイ14世やナポレオンからも自由を守ってきた、軍隊を持たないモナコは外国へ軍事派遣要請も考慮します。ちょうどヒッチコック監督からハリウッドへのカムバックを依頼されていた公妃は、独立維持のために、自由のために、公国を救うために何をしたか・・・ま、フランス相手の独立維持なので可能だった、とも言えますし、ド・ゴールが元女優の国際世論を動かす政治力を甘く評価していたので窮地を脱することが可能だったとも言えましょう。日本とは条件が異なりますが、広い意味で外交の重要性を示唆しているとも言えます。ハワイ生まれとは言え、オーストラリア国籍も有する、ニコール・キッドマンはやはり綺麗。先行上映だったので、国内ロードショーは10月18日開始。
  7. 神経免疫学会と神経感染症学会との合同学術集会 が2014年9月4-6日、金沢市の歌劇座で大原会長、松井会長の下、開催されました。その場で入手した情報から・・・

    1). 肺炎球菌ワクチンが国内で利用可能ですが、当初発売されたワクチンは米国での評価では効かないとされているそうです。日本だけのデータ。しかも、どうしてそうなったのか不明ですが、国内試験でも単独では効果がないことは判っていて、インフルエンザ・ワクチンと併用して初めて効果が出ることが証明されたんだそうですね。NMOでEqulizumabを投与する際に末梢血中から補体が消失するので髄膜炎菌に対するワクチン接種をあらかじめ投与することが考えられており、国内では髄膜炎菌より肺炎球菌の方がリスクが高いのでこちらのワクチン投与が考慮されていました。上記のような情報は、治療現場ではとても重要です。ちなみに、インフルエンザ・ワクチンに、ブースター効果あるいはアジュバントのような効果が他のワクチンとの組み合わせでもあるのかどうかは、その方はご存じではありませんでした。

    2). 東北大・中島先生は3患者団体の協力を得て、アンケート調査を実施。600名ほどの回答から400名余りのMS患者からのデータを対象に解析した結果をランチョンセミナーで紹介。14%の患者さんは経口PSLが投与されていましたので、NMOの可能性は完全には除外できていないかもしれません。回答率が30%台なので、重症患者さんが多かった可能性はあります。アンケートなのでそういった限界の存在を前提に・・・  
    disability調査には筆者らも翻訳版を紹介していますが(PharmaMedica 2013;31(6):121-8)、PDSSを使用(患者さんの自覚的障害度のスケールですが、EDSSとの相関が示されています)。PDSS 0から2までの経過は患者さんにより様々ですが、2から4までの進行速度は一定、と欧州の患者と同一であることが初めて判明。これには驚きました。SPMS患者さんの割合は本邦では少ないことをさまざまなところで筆者は発言してきましたから。精々MS患者さんの5%程度。定義が難しい上、本当に障害が進行していることを記載しているとは限らないですし、「自覚的SP」であることが多いですしね。この割合とSPMSと考えて良いのかどうかを質問しましたが、アンケート調査時にPDSSが4以上だった患者の割合は10%程度だったそうなので(多くの患者はPDSSが0から2)、国内でのSPMS患者の割合は10%弱と考えられます(重症患者が多く回答しているだろうからという意味も込めて)。  
    治療の現状調査では、発症から治療開始までの期間の中間値は4.5年。35%の患者は主治医から再発予防治療を薦められていないそうですが、この中には再発が何年もない患者さんも含まれているかもしれませんので、実態は不明。メーカーにとっては、商品を売れる余地かも、という意味で重要な対象でしょう(これがランチョンの目的?)。

    3). 東北大・三須先生はランチョンセミナーでMS/NMO病理の比較についての自験データの一部を紹介しました。以前、三須先生はNMO病変を6つのパターンに分類しました(Acta Neuropathol 2013;125:815-2)。彼によりますと、一人の患者さんで2-3パターンが混在していることはあるそうです。補体が沈着している病変と沈着していない病変がありますが、後者でも症状を呈しうるとしますと、Equlizumabのような補体を標的とした治療法では完全には再発を予防できない可能性が出てきます(実際は、ほとんど再発を予防できているようですが)。病理は治療法開発のアイディアの元にもなりうる研究ですから、今後の発展に期待しましょう。ちなみに、水平性半盲がNMOでの視神経炎の特徴的症状ですが(神経内科 2013;78:118-21)、視神経の遠位部の虚血性病変でなければ説明できない症状です。脳内でも小さな血管には同様の所見はあるそうで、血管壁に沈着しているIgMの対応抗原の解析も含めて、今後の解明が待たれますネ。  
    神経センター・山村先生から後半のCNS gliaへのFTYの作用について、三須先生が紹介した論文への評価内容を批判されましたが、三須先生にはちょっと気の毒。ランチョンですから、入り口でメーカーから配布された封筒には脳萎縮やastrocytosisへの作用を強調しているパンフが2部も入っていましたから、講演内容についてはメーカーからの依頼が大きかったのでしょう。ALSへのFingolimod効果を判定する治験が欧米では始まろうとしていますが、あくまでもMSの脳萎縮の進行をわずかに抑制するということであって、決して進行を完全に抑制するわけではないことに留意しておくべきでしょう。治験でMS患者での脳萎縮の進行を初めて統計学的にきちんと証明されたことで評価はされましたが、ドラスティックな抑制ではありません。ALSには効かないと思うなあ・・・もっとゆっくりとした変性疾患、たとえばアルツハイマー病初期にmonoclonal antibodyと併用なんていう「手」はあるかもしれませんが・・・
  8. 珈琲でPMLの治療ができる!?
    なんていう衝撃的な研究発表が日本神経免疫学会・日本神経感染症学会合同学術集会ジョイント企画の「SSPE・PMLシンポジウム2014」で北大・澤先生が報告。JCVのreplicationを抑制しますが、ただし、カフェイン濃度は1-2 mMだそうで、現実的にはキサンチン誘導体にも同様な効果があるので、こっちの方が利用できるかも、と。  
    因みに、カフェインのドーピングの基準は血中12 mg/Lだそうで、これは試合30分雨に珈琲6杯飲んだ時に相当するそうです(http://kaiwa-kouza.com/contents/sub/yougo/caffeine.html)。カフェインのMWは194.19なので、1 mMは194 mg/L。仮に一日3回、1 mMのカフェインに暴露させるとすると、BBBは考慮に入れずに血中の値だけで計算すると、珈琲を97杯ずつ朝昼晩に飲めば良い、ということになります。別の作用で気持ち悪くなるだろうな。
  9. 次回の神経免疫学会と神経感染症学会の予定 
    それぞれ
    2015年9月15-16日、長良川国際会議場 犬塚会長
    2015年10月22-23日、メルパルク長野 池田会長
  10. May J.は本当に凄い!
    どうして人気が出ないのか、不思議ですが、テレビ朝日系列「題名のない音楽会」で初めてご本人を画像で見ました。美しいし、最初はミュージカル女優かと思いました。テレ朝系列「関ジャニの仕分け∞」で26連勝したことと「アナと雪の女王」の主題歌で有名になりましたが、本当に歌がうまい。どうして評価が低いのでしょう?