2014年4月号 NO.2

  1. 肉を軟らかくする方法
  2. 脳室穿刺と腰椎穿刺によるCSF内蛋白の違い
  3. 外国ではじゃんけんをやっているのか?対応するゲームはあるのか?
  4. リンパ球数と好中球数のサーカディアンリズム
  5. 差別をなくすために学校で色覚検査をしなくなったことによる弊害
  6. IFNβ1aによるHPS
  7. 薬剤の有害事象のデータベース
  8. 外務省に沖縄大使が存在
  9. バレンタインデーにイヌ・ネコはご用心!
  10. CISでの抗EBNA-1抗体はMSへのconversionを予告する
  11. 専門外の医師による医療過誤?
  12. EBVのMS病因に関わる機序の可能性
  13. 欧州と北米とでMS患者でのNatalizumab-associated PML(NAP)の頻度が異なる理由について
  14. World press freedom index
  15. MSでの抗EBV抗体が見いだされるリスクについてのメタ解析
  16. Frank’s sign
  17. ブラのクールな付け方と外し方
  18. Presymptomatic PML in Natalizumab treated MS Pts
  19. Vit Dと紫外線照射は独立したMS発症リスク
  20. ストレスとMS発症リスク
  1. 肉を軟らかくする方法
    酵素処理か筋切りが基本のようですね。
    1. 玉ねぎのすりおろしに漬ける (帝国ホテルのシャリアピンステーキのレシピと同じ)
    2. コーラなどの炭酸飲料に10分ほど浸す (これ、アメリカ人大好き)
    3. キーウィをスライスまたは摺り下ろして10~15分程度肉を漬け込む
    4. プレーンヨーグルト(無糖)を塗るか浸してから焼く
    5. 大根おろしの汁につけておく
    6. 筋・細胞繊維をできるだけ切断する(ブロック状の肉や肉汁を重視しない肉の場合) 業務用の筋切りの道具が通販でも売っています。
    7. 生のパイナップルをすりおろして10分程度つけ込む(ブロメラインの効果) (入手しにくいですが、100%パイナップルジュースも利用可能)
    8. 酒やワインなどで煮込む
    9. 生のキーウィをすりおろしたものに10分ほど漬け込む (3と同じですね)
    10. 生のパパイヤをすりおろして10分程度つけ込む(パパイン酵素の効果)
    11. 肉たたきなどの調理器具で叩いて柔らかくする。肉汁が出てしまうので 叩き過ぎは厳禁。ハンマーの重みだけで。
    12. 生のしょうがの絞り汁に浸し30分ほど冷蔵庫で寝かせる
    13. 味噌に漬ける(タンパク質分解酵素で軟らかくなる)
    14. 長時間煮込む (ブタのリブステーキは美味)
    15. 梨をすりおろしたものに10分ほど漬け込む
    16. 焼く前に片栗粉をごく少量まぶす(肉汁がにげにくくなり柔らかく感じる)
    17. 熟成させる(早く熟成を進行させる専用の冷蔵庫を使うとなお良い)
    18. オレンジ (マーマレードが便利)
    19. 味付け前に少量の砂糖を肉にすり込む
    20. 小麦粉と塩コショウをした後に薄くつける
    21. みじん切りにしたまいたけを肉にすり込む(エンドペプチダーゼの効果)
    22. スジャータ
    23. 皮をむいた大根で叩く
    24. 蜂蜜をつける
    (http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1146749561より)
  2. 脳室穿刺と腰椎穿刺によるCSF内蛋白の違いが知られています(Eur J Neurol 2007;14:248-54)。total Tauは腰椎レベルのCSFより脳室内CSFの方が高く、CSF/serum albumin比は逆に脳室のほうが低いそうな。小児のCSF biomarkerを主題とするreviewがでています(Eur J Paediatr Neurol 2013;17:7-13)。
  3. 外国ではじゃんけんをやっているのか?対応するゲームはあるのか?
    「最初はグー」を始めたのは志村けんさんなんだそうで、じゃんけんも奥が深いのかもしれません。  

    祇園のお座敷遊びで、じゃんけんと同じ三すくみのゲームもあって、この由来は近松門左衛門の「国性爺合戦」から誕生したそうで、「槍(加藤清正)」は「虎」に勝ち、「虎」は「老婆」に勝ち、「老婆」は自分の息子の「和唐内(加藤清正)」に勝つ、というもの。  

    さて、外国にも似たようなゲームはあるはずですが、今のところ調べ切れていません。25年前、ニューヨークの近代美術館内のレストランで、息子と「あっち向いてほい」をしていたら、周囲のアメリカ人達に受けてました。多少は理解できていたみたいですが・・・
  4. リンパ球数と好中球数のサーカディアンリズム
    ヒトのデータが出ていて、リンパ球は丑三つ時(午前3時)に増加し、好中球は昼から夜間にかけて(14-23時)に低下するという報告が出ています(J Immunol 1997;158:4454-64)。Fingolimodを午前8-9時に内服しますと、本来は増加してくる時間帯にリンパ球数は低下します。面白いことに、ヒトだけでなく、rodentsも寝ている時にリンパ球数は増加します。つまり、夜行性なのでリンパ球数のサーカディアンリズムはヒトとは逆になります(Ann NY Acad Sci 2010;1193:48-59)。
  5. 差別をなくすために学校で色覚検査をしなくなったことによる弊害
    先天性赤緑色覚異常が最も多いのですが、色覚異常は女性では1/500ですが、男性では1/20と比較的頻度の高い病態。文科省は日常生活上余り困らないので差別をなくすために2002年に法改正をして、それまでは4年生に施行していた色覚検査を義務にはしなくなったため、学校でほとんど行われなくなりました。そのため、社会人になって初めて色覚異常が判明して、就職制限のある場合があることに戸惑う若者が増えているそうです。チョークの色が解らなかったり、焼肉を食べる際にまだ充分に焼けていない赤いままの生肉を食べようとしたりするそうです。社会人になってからは、自衛隊には入れなかったり、ヘアカラーが区別できないために美容学校には入れなかったり、警官やパイロットも就職には制限があるそうです。そこで、信号機の赤にバッテンサインを黒で入れる試みの他、色覚補正レンズ(ネオ・ダルトン社)も開発されています。 (MBSテレビ “VOICE” 2014年2月10日放映より)
  6. IFNβ1aによるHPS
    MSではほぼ全例でEBV感染が認められることから、EBVに関連したhemophagocytic syndromeが気になるところです。FingolimodでHPSの報告がありますが、これは薬剤自体によるものではなくて単純ヘルペスと関連しているのかもしれません(もちろん、薬剤が直接関与していないかどうかは不明です。なにせ、MSではHPSを通常合併しませんから)。ところが、イタリアからIFNβ1aにより誘導されたらしいHPSの症例報告が出ています(Reumatismo 2013;65:253-5)。この患者さんではウイルスは関与していないようです。奇妙な名称の雑誌ですが、全文英語です。
  7. 薬剤の有害事象のデータベース
    EMAのOnline access to suspected side-effect reports (http://www.adrreports.eu/EN/index.html)で薬剤名を入力しますと、出てきます。
  8. 外務省に沖縄大使が存在
    平成19年の第168回臨時国会で当時の鈴木宗男議員(無所属)からの質問主意書に対して、福田総理から河野洋平衆議院議長に対して答弁書が作成されています。それによりますと、昭和27年に施行された外務省公務員法に基づいて、在外公館の長である特命全権大使などが勤務を免じられた場合、新たな勤務を命じられるまでの期間、待命とされ、本省などで任務に従事することが定められています。ま、ポストをいくらでも(?)作れるようにしっちゃった、ってことでしょうか。当時、本省の事務に従事している待命の特命全権大使の担当は、国際テロ対策担当とか、朝鮮半島エネルギー開発機構担当とか、いろいろあって沖縄担当もあり、駐留米軍に関わる事項について沖縄県民の意向などを本省に伝える仕事をしているんだそうです。「動乱のインテリジェンス」(佐藤 優、手嶋龍一 新潮新書)によりますと、沖縄大使が勤務している沖縄事務所はモスクワやワシントン並の暗号のかかる通信施設まで所有しているそうな。
  9. バレンタインデーにイヌ・ネコはご用心!
    1年の大半をこの時期に売り上げるチョコレート業界にとっては気になるかもしれません(イヌ・ネコの好きな方は多いので、そんなこと、どうでもいいなんて思ってはいないでしょうね!)。つい、与えてしまうと大変なことに。様々な動物病院のHPによりますと・・・原料のカカオマスに含まれるメチルキサンチンの1種であるテオブロミン(コーラやお茶にも含まれるそうな)が原因と言われています。ヒトに比して、肝での代謝能力が低いために中毒になってしまいます。小型犬では50g程度の板チョコ1枚で中毒症状が出るそうです。半減期が17.5時間と長いので、反復して食べる機会があると、危険です。4時間以内に発症し、3日続くこともあり、突然死も。嘔吐や下痢、興奮、抑鬱、発熱、振戦、失調、痙攣などが出現。解毒剤がないので、胃洗浄が必要なこともあるそうです。緊急を要します。
  10. CISでの抗EBNA-1抗体はMSへのconversionを予告するという論文が出ています(Ann Neurol 2010;67:159-69)。
  11. 専門外の医師による医療過誤?
    救急医にとって有名な判例があるんだそうです。自動車運転の交通事故で奈良県立五條病院へ患者は搬送。夜間に急変し、外傷性心タンポナーデと診断した脳外科医は専門外だったけれども、左肩から穿刺するエコーを使用しない方法で試みましたがうまく行かず、患者は死亡。大阪高裁は平成15年10月8日の判決で、救急に従事する医師は専門科目によって注意義務の内容、程度は異ならないとし、遺族に4900万円の支払いを命じました。「弁護士アヴァンセ 医療事故弁護士ブログネットワーク」(http://avance-iryou.doorblog.jp/archives/378224.html)はエコー下で行わなかったことに疑問を呈し、当該医療機関が二次救急医療機関であったことと、自らの判断で行った手技が不適切だった場合には医師の責任が肯定されるのもやむを得ないとしています。やってやれないという医師たちの声がネット上に多く出ています。ここまで要求するなら、20ヶ所以上の病院で断られることもやむを得ないのではないでしょうか。
  12. EBVのMS病因に関わる機序の可能性
    1. Molecular mimicry
    2. Immortalization of autoantibody-producing B cell clones
    3. Immunopathology (Tr Immunol 2009;30:243-8)

  13. 欧州と北米とでMS患者でのNatalizumab-associated PML(NAP)の頻度が異なる理由について
    従来は欧州では歴史的に免疫抑制剤が投与されてきたためと考えられてきましたが、2013年のAANでのシンポジウムで、治験で登録されたMS患者の体重に有意差があり、北米の患者はデブだった、と報告されました。つまり、体重当たりのNatalizumab投与量が欧州では多かったために、PMLのリスクが高くなった、と。同じAANではNAP患者とnon-PML MS患者とで体重に有意差がなかったことがポスターで示され、体重はNAPのリスクにはならないという主張も出てきました(メーカー本社はどうもそう言いたいのかな?)。ただ、NAP患者は2013年11月でも400名余りで、non PML MS患者は10万人を超えています。この両者の体重を比較することに意味があるでしょうか?24ヶ月以上投与されたMS患者を対象に、10 Kgずつの体重別PMLリスクを出すべきでしょう。で、体重の影響があるかどうか・・・
  14. World press freedom index

    ジャーナリストによる非政府組織「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」が公表している 「世界の報道の自由度指数(World press freedom index)」の2014年版ランキングが2014年2月12日に発表されました。日本は特定秘密保護法などにより自由な報道が制限される可能性が想定されたためか、2013年の53位から59位へランクダウン。ベストテンの大半は北欧など欧州各国なのは仕方ないとしても、差別するわけではないけれど、Jamaica (17位)やGhana (27)、South Africa (42)、Romania (45)より下位なのですね。これは悔しい!ちなみに、USAは46位で、China (175)とDPRK (179)という朝鮮戦争同盟国は仲がよろしく、最下位はEritrea (180)(内戦中でしたかね?)。


  15. MSでの抗EBV抗体が見いだされるリスクについてのメタ解析
    39の研究をまとめた結果、ORと95%CIは
    抗EBNA-1 IgG    4.5    3.3-6.6    p<0.00001
    抗VCA IgG      4.5    2.8-7.2    p<0.00001
    (PLOS ONE 2013;8:e61110)
  16. Frank’s sign
    以前から知られている兆候ですが(Frank ST. N Engl J Med 1973;289:327-8)、改めて画像の報告がありました(N Engl J Med 2014;370:e15)。耳朶に後下方へ伸びるライン (英語ではearlobe crease)が認められると、冠動脈疾患のリスクが高いそうな。陽性予告的中率と陰性予告的中率の感度と特異性は、51.3&、84.8%、89.4%、41.2% という報告があります (Dermatology 2004;209:271-5)。当然ですが、脳血管疾患のリスクにもなるという報告もあります(Atherosclerosis 2008;196:477-8)。
  17. ブラのクールな付け方と外し方
    以前、マイクロソフトのCMで黒いブラを外すためにパスワードが必要、というのがありましたし、YouTubeには007みたいなアクション映画風のクールなブラの付け方、という動画(How to put on a bra)があります。(http://apple.mo-blog.jp/lonestar/2006/11/post_789b.html) こんなこと、やれるわけがない。  

    ある女性MRさんからの情報提供。ランジェリーブランド「Ravijour」は2014年1月23日、世界初となる“真実の愛がないとホックが外れないブラ”「TRUE LOVE TESTER」を開発したと発表しました。ブラには心拍数を読み取れるセンサーが内蔵されていて、iPhone専用アプリにデータを飛ばして、一定の変化があった場合のみロックが外れてブラのホックが外れるというもの。相手がドキドキする場合のみ有効と思われ、夫婦間ではもはや反応しないとか、緊急事態に対応できない(だって、いざという時のために、毎日装着しないといけないので)、レイプの時も心拍数が上昇すると勝手に外れてしまう、などの欠点もあるように思われます。  タイのワコールのCMでブラを外したら、という動画がありました・・・途中で気づきますが、笑えます。胸に谷間があったよなあ・・・被害に遭った方が身近にいるかも・・・
    詳細は・・・http://rocketnews24.com/2013/08/06/357212/ 「ロケットニュース24」という奇妙な日本語のHPもあります。その中から・・・  
    英ウェブサイト「VoucherCodesPro」が、過去2年以内に離婚や恋人との破局を経験した1953人の成人男女を対象に、交際期間と破局原因についてアンケート調査を行ったところ、カップルの平均交際期間は2年9カ月であることが判明。元パートナーと子供をもうけた人は誰もいなかったそうです。回答者の破局前の交際状況は、「結婚24パーセント、同棲41パーセント、同居しない交際35パーセント」という内訳。短いですねえ。イギリス人は飽きっぽくなったのか、結婚や同居までが安易なのか・・・
  18. Presymptomatic PML in Natalizumab treated MS Pts
    定期的に脳MRIをチェックすることで無症状期のPMLを検出できることが知られています(JNNP 2012;83:224-6)。ここでは6ヶ月ごとに撮影することを薦めています。CSFでJCV遺伝子がPCRで検出されたら、単純血漿交換あるいは吸着で薬剤を急速に除去しつつ、IRISを防ぐためにステロイドパルスと内服ステロイドを投与することが示されています(有効性については、Neurology 2009;72:1458-64で報告)。CSFでPCR陰性でも否定はできないので、疑わしい場合は反復して検索するべきだそうな。

    Natalizumabを中止したらIRISが起きること、CSFでJCVが見出されても神経学的には自然改善しうること、脳MRIでの所見は症状を呈する数ヶ月前に見出されることが同著者らにより報告されています(Neurology 2011;76:574-6)。AIDSで見出されるPMLでは造影病変は稀ですが、Natalizumab-associated PMLではしばしば認められます。このことはBBB破綻を意味しており、early IRISを意味しているそうな(Curr Opin Neurol 2011;24:284-90)。
  19. Vit Dと紫外線照射は独立したMS発症リスク
    もともと高緯度地域にMSが多い理由として、日光照射量減少が挙げられ、その科学的説明として紫外線照射低下、さらにはビタミンD低下による免疫機能への影響がMS発症リスクとして説明されてきましたが、両者は独立して影響しうることが示されています(Neurology 2011;76:540-8; Eur J Neurol 2012;19)955-62)。ビタミンDは経口からはほとんど摂取されないため、独立しているとすると、紫外線照射にビタミンD産生以外の影響があることが示唆されますね。
  20. ストレスとMS発症リスク
    ストレスには強力な免疫抑制作用があることが知られています。成人動物に慢性的なストレスを与えるとEAEを抑制することが報告されています(Proc Soc Exp Biol Med 1962;109:294-8)。どうような現象はMSでも知られていて、Gulf Warの期間、慢性的なストレスに暴露されていたMS患者では再発が減少したという報告があります(Neurology 1993;43:1311-2)。ただし、急性のストレスは逆に発症を促進させることがEAEでは示されています(Brain Behav Immun 2002;16:757-63)。