2009年12月号 NO.2

  1. 腎障害時でのGd使用ガイドライン
  2. バンコクのタクシーはスリリング
  3. 狂犬病
  4. 脳ヒストプラズマ症
  5. コクシジオイデス症
  6. Good症候群
  7. 尿中BMGはウイルス関連脳症の早期マーカー
  8. 痙攣重積型脳症で血清中Neurofilamentはきわめて高値
  9. 食餌性A型ボツリヌス
  10. イタリア産グリーンオリーブによるボツリヌス中毒の集団発生例
  11. HAART導入後の神経症状
  12. インフルエンザ脳症の機序
  13. 脳マラリア
  14. MSとサルコイドーシスの鑑別
  15. 珍しい関西の名字
  16. パーキンソン病の強い眠気にベタナミン錠
  17. 部位別Neuropathic painの原因疾患
  18. 部位別neuropathic painへの薬剤
  19. パーキンソン病発症遺伝子
  20. 自民党再生への道?
  21. 肥厚性硬膜炎の原因疾患
  22. 肥厚性硬膜炎はIgG4関連疾患?
  1. 腎障害時でのGd使用ガイドラインが2009年9月に日本医学放射線学会と日本腎臓学会とから出されました。重篤な腎機能障害がありますと、Gd投与によりNephrogenic Systemic Fibrosis (NSF)が時に出現することが報告されています。NSFは曖昧な概念ですが、Gd投与数日から数ヶ月後に、皮膚の腫脹や硬化、疼痛などで発症し、進行しますと、四肢関節の拘縮をきたすんだそうな。女性高齢者が特に要注意。通常の使用法をしている限り、一般的に問題になることは少ないようですが、外国では造影病変検出率を上げる目的で、triple doseを投与することがあり、特にGFRが30以下の患者さんにも投与していたようで、これがNSF発症者の増加の原因でもあるようです。

  2. バンコクのタクシーはスリリング
    世界神経学会には出席しなかったのですが、MSの会議のために「10ッテン21」(この言い方にどれほどに人が理解できるでしょう?かつて、20世紀にはイギリスの哲学者も関係していたんだけどなあ)過ぎにバンコクへ弾丸ツアーをして参りました。バンコクが赤道に近いことを忘れておりました。空港を出たら、32℃の世界。冬用の背広はさすがに酷。ただ、エアコンの効いた室内では寒いことも、生活しにくいこと!  さすがに0泊2日は勘弁していただきましたが。さて、バンコクのタクシーは怖いです。大阪のUSJの絶叫マシーン、ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドよりスリルがあります。ちなみに、このジェットコースターは夜がお奨め。MSセンターの23歳の3人組と女性レジデントと乗ってきましたが、頂点から下がるときに視野が大きく広がって周辺の夜景がとってもきれいなのです。目をつぶってはもったいないのですね。「国防婦人会」(本当は30を過ぎたばかりの人妻ですが、PTA風にうるさい)と男性レジデントは怖いと言って、逃げました。

    さて、一緒に乗っていた京都民医連のS先生は、「もう、前を見てられへん。足で体を固定せにゃ」と。シートベルトはありましたが、固定する方が行方不明。片道3k線の上を走ります。バイクやほかの車をぎりぎりの幅を残して追い越してゆきます。車を擦ったら高いでしょうに。命の値段が低いのでしょうか?TOYOTA車だらけの政情の安定していない、しかし首都の中心には高層ビルが建ち並ぶ国で、ちょっとだけ考えさせられました。

    チャオプラヤー川河畔のタイ料理レストランで夕食。スープはとてもおいしく、甘酸っぱくて辛い味は、日本のタイやベトナム料理店では味わえない奥深い味。でもね、店が暗くて、何を食べているのかようやく解る程度で、色がよく解らないのです。色彩さえ料理の一部と考える日本料理とは別世界。最後に水滴もついていない、冷たくない果物がデザートに出ましたが、冷蔵庫に入れる必要がないほど回転が良いのか・・・水で洗ったら却って危ないのか・・・ライトアップされたワット・アルンやワット・プラケオがとてもきれいでした。川にはレストランへ客を運ぶ艀だけでなく、川を上下行しながら音楽を聴きながら料理を食べる巨大な船も行き交っていました。中には、エルビス・プレスリーをがんがん鳴らしながら下ってゆく船も。川自体は茶色に濁ってました。

    ホテル前には巨大なモールの端にISETANが5階分のスペースを占拠。一番上がレストラン街というのは定番ですが、そのすぐ下に本来なら地下にあるはずの野菜や果物、豆腐・油揚げなどの日本食食材が所狭しと並んでいます(ヨーロッパではデパ地下にあるような「スーパー」がやはり上部階にあるんだそうな。アメリカは違ったような気がしますが・・・)。国内にこのまま持ってきても立派な品揃え。ここのフロアだけは日本人店員が多いようでした。

    グレートアップされた、インターコンチネンタルホテルの広い部屋は快適。二つの部屋(さらに隣の部屋に通じるドアがあり、さらに広く利用できるようです)の中にホテルブランドのミネラルウオーターが5本ほどあちこちにおいてあります。タイは物価が安く、15分ほどタクシーに乗っても、100バーツに満たないのに、部屋の冷蔵庫に入っているコカコーラやスプライトは150バーツと、500円近くもします。ディナーから戻ってきましたら、テーブルの上にバナナなどの果物が一人なのに、これって何人分?という量が置いてあります。シャワールームは大人が同時に5人ほど入れる大きさ。テレビが2台ありましたが、ベットルームは角部屋で扇形の長い1面が全て窓になっています。吉瀬美智子さん(本誌の読者の多くはご存じではないかもしれないので注釈を加えますと、モデル出身の現在35歳くらいの女優さんで、ニューハーフ風の感じのするきれいな人。パナソニックのCFに出ています。「太陽と海の教室」の理事長秘書役や「ブラッディ・マンディー」のテロリスト役をしていたヒト。ちゃんと見てはいませんが、後者は重要な役どころだったはず。公式HPはhttp://www.kichisemichiko.com/)みたいな女性がシャワー上がりに裸でベットルームを歩いていたら映画みたいですが、残念ながらこの部屋は27階という中途半端さのため、外部から丸見え。このホテルの最上階は37階なので、もう少し上の部屋なら裸で歩けるかもしれません。日曜日だったためか、高層ビルは明かりが灯っておらず、夜景は美しくはありませんでした。1泊の悲しさ。入り組んだ部屋の配置なので、広すぎて落ち着かないということはないのですが、この贅沢さは充分に快適。Pillow menuまであります。8種類も用意されていて驚きます。Latex Foam Pillow, Hypo Allergenic Pillow, Adjustatable Health care Pillow, Comforel Pillow. ここまでがアレルギー対策用。Body Pillow Longメモはどうも抱き枕のようです。Natural Rubber Pillow, Igusa Pillow. これらは名前の通り。最後はContour Pillow. superior hollow fibersが使用されているようですが、詳細不明。

  3. 狂犬病  
    第14回神経感染症学会(2009/10/16-17 宇都宮)でのシンポジウムにて、都立駒込病院小児科の高山先生のご講演より。  

    日本では半世紀以上前に狂犬病発症がなくなりましたが、狂犬病とはいっても感染するのはイヌだけではなく、キツネやネコ、アライグマ、吸血および食果コウモリなどにも感染します。珍しい映像などといって、コウモリがたくさんいる洞窟を探検する番組もありますが、とても危険。

    1-3ヶ月の潜伏期が通常ですが、怖いことに7-8%では1年以上なんだそうな。初期に診断する方法はなく、発病したら100%死亡。角膜などの移植によりヒトーヒト感染することも。外国でイヌに噛まれた、輸入狂犬病は3例のみで、いずれも高齢者。確率的には世界中に散らばっている、20歳代前半の若者が危険なはずですが、むしろ定年後に外国で生活するヒトが増加してきたため、高齢者が意外に多いそうな。噛まれた後、筋内で増殖し、末梢神経を上行して脊髄へ。ここで発症。噛まれる部位により潜伏期が違い、下肢はよいが、顔や上肢は危険で、潜伏期が15-26日と短い。診断は結構やっかいで、唾液やCSFからウイルスを分離する方法もあるが、PCRでも必ずしも検出できず、抗体は初期の診断には役立たない、と。鑑別診断もややこしく、狂犬病類似の症状を呈しうるリッサウイルスがヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアにいるコウモリが持っているそうです。後遺症は残ったものの、救命例は世界で6例しかないそうです。  

    流行地でも免疫グロブリンの入手は困難で、暴露前ワクチン接種が重要ですが3回注射しようとすると半年かかってしまいます。しかし、2回でも有効なので、急な出張でも注射した方がよい、と。予防のために国内でワクチンを注射しようとしても入手が困難で、実績のある病院でしか入手できないのでネットで調べることが薦められていました。1週間後、世界神経学会でバンコクへ出張する予定のさる大学教授が今から予防法はあるか、と質問していらっしゃいましたが、もう無理だ、と。WCNへではありませんが、MSの会議に出席する予定の身としては、建物に閉じこもってよ。
  4. 脳ヒストプラズマ症 
    千葉大臨床感染症分野・亀井先生のご講演から。輸入真菌症で、健康人でも感染しうる疾患で、日和見感染ではないそうです。しかし、AIDSのような細胞性免疫が低下しているとリスクは高いそうな。世界中で流行しており、近年、わが国でも増加中。例年、数名から十名ほどが発症しているそうです。国内で土着している可能性も指摘されています。  

    臨床的に疑う条件は、
    1). 進行する粘膜潰瘍や肝脾種、貧血の存在
    2). 渡航歴 (日本人で、10%は海外渡航歴がないそうな)日本人では中南米や東南アジアが多いそうです。
    3). 単核球主体の慢性髄膜炎(妙な結核性髄膜炎疑い例)  

    潜伏期は1-4週。胞子を吸入することにより肺ヒストプラズマ症として発症しますが、ハトの糞の処理やコウモリの住む洞窟探検などで感染。  

    肺の結節性陰影が有名ですが、肺線維症を呈することがあり、診断は難しいことも。急性肺炎では稀に再燃も。中枢神経病変は肝脾種や副腎腫脹を呈する播種型で出現しますが、単独でも発症しうるそうです。25%では他臓器に病変がなく、他臓器病変治癒後に発症することも。40%は慢性髄膜炎を呈し、脳膿瘍や水頭症も。16%以下で瀰漫性脳炎に。CSFでは90%で単核球増加。蛋白も増加し、糖は減少。培養は出にくく、20 mlのCSFで1ヶ月かかった例も。発育がきわめて遅いのが特徴ですが、検査室内感染の危険が高いことでも有名で、疑った場合はむしろ培養検査は出さない方が賢明、と。診断法としては抗体検出が有用で、千葉大で可能だそうな。中枢神経病変の場合はCSF中抗体の検査も。抗原は米国の1社(Miravista Diagnostics)のみが独占的に施行。結核治療で少し反応することがあり、間違うことも。予後は悪いので積極的な治療が必要で、amphotericin Bが有効。fluconazoleは効果が弱く、itraconazoleが良い、と。

  5. コクシジオイデス症 
    これも輸入真菌症。アリゾナやカリフォルニアで感染することが多く、潜伏期は1-4週。慢性から亜急性髄膜炎を呈し、脳膿瘍にも。血管炎を呈すると、梗塞や出血を起こすそうです。最強の真菌と考えよ、とのこと。健康人もばんばん罹患するそうですよ。診断は抗体で。これもヒストプラズマと同じく、培養に時間がかかり、形態に特徴がなく、国内でも検査室内感染が起きているそうです。培養検査を出してはいけないんだそうな。β-Dグルカンはしばしば陰性なので診断には有用ではありません10%では中枢神経病変のみ。水頭症を起こしやすいそうな。フルコナゾールが有効。ただし、終生服用が基本。さすが、最強の真菌。

  6. Good症候群 
    低ガンマグロブリン血症に胸腺腫を合併する疾患ですが、MG, LEMS, Isaccs, limbic encephalitisを合併することも。神経感染症学会で福井大学第二内科から進行性の白質病変合併例が報告されました。

  7. 尿中BMGはウイルス関連脳症の早期マーカー 
    多施設共同研究の結果が九大小児科から報告。尿中β2-microglobulinが2000 μg/mgCr以上ではFlu脳症、HHV6脳症など重篤な脳症の早期診断マーカーになることが示されました。尿中BMGはサイトカイン産生過程の副産物であり、予後とも相関。血球貪食症候群でも血中濃度より尿中濃度の方が鋭敏なマーカーだそうです。
  8. 痙攣重積型脳症で血清中Neurofilamentはきわめて高値であることが山口大小児科から示されました。必ずしもBBB透過性亢進を意味しないそうです。ただし、病初期には上昇せず、平均15.6病日でピークに。
  9. 食餌性A型ボツリヌス中毒例が自治医大神経内科から提示されました。初期には悪心、嘔吐、腹痛があり、食中毒症状を呈するので紛らわしい。
    診断のポイントは、
    1). 近位筋や脳神経の筋力低下
    2). 散瞳、口腔内乾燥、便秘といった自律神経症状
    3). NCVは正常で、神経生理検査ではMGでもLEMSでもない  
    血清中の毒素の検出で診断が確定。通常は便培養で細菌を同定しますが、PCRでも可能。この患者さんでは外傷はなく、土壌からも検出されず、食品からも細菌が見いだされなかったため、原因不明。ただ、50日後も細菌が検出されたことから消化管に定着したのではないかと考えられ、原因食品不明の食餌性と想定されました。札幌、仙台、大阪などに厚労省からの委託で、乾燥抗毒素が蓄積されているそうです。

  10. イタリア産グリーンオリーブによるボツリヌス中毒の集団発生例が東京女子医大神経内科から報告。注目すべきはTR350でもPheでも100%吸着されたことで、副反応などのために抗毒素の使用に制限のある患者さんでは新しい治療法として有用であることが示されました。

  11. HAART導入後の神経症状 
    都立駒込病院・岸田先生によれば、神経合併例が減少したが、PMLは増加。PML自体の機能予後はやはり悪い。しかし、免疫再構築症候群を加えるとあまり減少していない。

  12. インフルエンザ脳症の機序について、徳島大酵素研・木戸先生はマウスを使用した自験データをまとめて発表しましたが、えらい迫力。充分にはfollowできませんでした。インフルエンザ感染によりIL-1β、IL-6、TNF-αが上昇し、MMP-9の転写増幅を引き起こして多臓器不全を起こす一方、海馬神経細胞や血管内皮細胞での膵トリプシンがupregulateされ脳浮腫の原因に。感染後細胞内で糖が消費しにくくなり、脂肪酸を使うように。インフルエンザ脳症が日本に多いのは、ミトコンドリア内でATPを産生する際に不可欠なcarnitine palmitoyltransferase (CPMT) IIの温度感受性遺伝子多型が日本人にしか見いだされていないこと。平熱では問題ないのですが、40℃で酵素活性が低下。この変化にサイトカインとトリプシンによるミトコンドリア機能不全が加わることでATP産生能力が急速に低下し、ATPクライシスになって脳浮腫に。このATP産生低下現象は、脂肪からのATP産生依存度のほとんどない神経細胞よりは血管内皮細胞に現れるため、インフルエンザ脳症は血管の病気と言うべき。全身の血管透過性が亢進。サイトカイン自身は脳症とは直接の関連はなく、引き金になっているだけである、と。子供に多いのは、子供特有の脂肪を使用する代謝によるそうです。同じ現象は、HHV-6でもadeno virusでも認められ、インフルエンザに限定されない。インフルエンザ感染プラス発熱することで、神経細胞が異常発火し、異常行動するのか?と。小児の場合、解熱する際も注意が必要ですが、熱は下げた方が良いようですね。

  13. 脳マラリア  
    結核予防会新山手病院内科・木村先生によるご講演から。本症は2000年には154例報告がありましたが、2007年には52例に激減。この間に予防薬が市販されています。最初にマラリア原虫は肝臓に入り込み、ここでは無症状ですが、赤血球に感染すると症状を呈します。  発症機序は、
    1). 変形能低下などによる血流うったい。 
    2). 血管内皮細胞活性化によるBBB障害
    3). 炎症性及び抗炎症性サイトカイン増加
    4). NO関与?  
    末梢血塗沫標本で原虫を発見できますが、慣れていないと見逃す危険があり、抗原測定で除外診断が必要。眼底出血は診断に有用。  

    脳ヘルニアは小児に多く、IICPは小児に必発ですが、成人では稀。白質の点状出血やring hemorrhageが認められます。脳血流の増加により、astrocytic edemaが出現。  治療に使用するキニーネ耐性は200-300人に一人存在すると言われています。熱帯病治療薬研究班ではHPで情報を発信しており、多くの薬剤を扱っています。京都市立病院や新潟市民病院などで薬剤を所有しているそうです。2007年に寄生虫病治療マニュアルを発行しています。支持治療としてのヘパリンは有害の可能性あり。
  14. MSとサルコイドーシスの鑑別 
    脳MRIで両者を鑑別することは必ずしも容易ではありません(Am J Neuroradiol 1999;20:655-9)。22例中10例(46%)でMS類似の脳室周囲と白質病変が認められることが報告されています(J Neuroradiol 2000;27:185-8)。また、7例中2例でも同様の現象が報告されています(J Clin Imaging 2004;28:166-9)。leptomeningeal enhancementや脳底の脳神経がgranulomatous involvementがneurosarcoidの特徴(J Magn Reson Imaging 2009;30:732-8)。

    30例のMS、21例のneurosarcoid、4例のADEMを対象に、脳梁について大脳白質・灰白質を対照にdiffusionで解析。他では差はなかったものの、脳梁ではMSで有意に高信号を呈し、鑑別が可能であることを報告している論文があります(J Magn Reson Imaging 2009;30:732-8)。
  15. 珍しい関西の名字
    布留川 ふるかわ
    張 「ちょう」さんではありません。帰化人かもしれないので、昔はそうだったのかもしれません。四国に多いそうであります。「はり」さんと読みます。

  16. パーキンソン病の強い眠気にベタナミン錠が良いかもしれません。本来はナルコレプシーの薬です。

  17. 部位別Neuropathic painの原因疾患
    Peripheral nerve
      Diabetic neuropathy
      Trigeminal neuralgia
      Complex regional pain syndrome
      Neuropathy induced by tumoral invasion
      Chronic entrapment (i.e., carpal tunnel syndrome)
    Dorsal root
      Post-herpetic neuralgia
      traumatic brachial plexus avulsion
    Spinal cord
      Spinal cord injury
      Spinal ischemia
      Syringomyelia
    Brain
      Post-stroke
      MS
    (Bennett MI (Ed) Neuropathic pain, Oxford Univ Press, 2006, pp3-9.)

  18. 部位別neuropathic painへの薬剤
    末梢性
      Tricyclics
      SNRI
      Gabapentin
      Pregabalin
      Tramadol
      oxicodone-CR
      Topical Lidocaine
      Carbamazepine
    中枢性
      Tricyclics
      Lamotrigine
      Carbamazepine
    (Pain 2005;218289-305; J Nerral Transm 2005;112:735-49)
  19. パーキンソン病発症遺伝子
    Gaucher7s diseaseの原因遺伝子であるGlucocerebrosidaseをコードする遺伝子GBAのmutation(L444PとN370S)が人種にかかわらずパーキンソン病の発症に関わる遺伝子であることが計12ヶ国、16ヶ所の共同研究で明らかに。日本からは、Prof Tsuji (東大)とProf Toda (神戸大)が参加(N Engl J Med 2009;361:1651-61)。多少患者数が凄くて、パーキンソン病患者が5691名、対照者が4898名。パーキンソン病患者では7%でこれらの遺伝子変異が認められ、健常者に比して発生率は5.43倍だったたそうな。
  20. 自民党再生への道?  
    EUは中道左派が軒並み選挙に敗れ、ドイツ、フランス、イタリア、デンマーク、オランダ、スウェーデンがいずれも中道右派政権に。イギリスも来年には政権が変わるだろうとされていて、ヨーロッパ主要国で中道左派が政権を握っているのはスペインだけになりそうな勢いです。これらの新しい保守政党の特徴は従来の左派政権の伝統だった、環境と福祉を掲げていることで、ある中道左派の政治家は海賊行為だと息巻いているそうな。よけいなイデオロギーから脱却して現実路線をとることで、極右を捨てる一方で、中道の一般大衆の支持を獲得したことが、左派政権の分裂などにも助けられて躍進したようです。  

    さて、我が国の自民党はどうでしょうか?党運営の基本方針を議論する政権構想会議のメンバーの大半が、みんなでやぞうぜと言った谷垣総裁以下、リベラルな政治家ばかり。これで、意外に政治的にはよりリベラルな小沢一郎に対抗できるのでしょうか?日本医師会にも見放されようとしていますが、従来、 自民党が社会党の政策を飲み込みながら生きながらえてきた、55年体制とは異なる手法が求められようとしているのか・・・?
  21. 肥厚性硬膜炎の原因疾患
    1). 感染性
    梅毒、結核、真菌(アスペルギルス)、HTLV-1、Propionibacterium acnes、緑膿菌
    2). 非感染性
    Wegener肉芽腫、PN、膠原病、sarcoidosis
    (第11回京滋神経免疫フォーラムにて、医仁会 武田総合病院・滋賀先生の症例報告から)
  22. 肥厚性硬膜炎はIgG4関連疾患?という症例報告が出ています(臨床神経, 2009;49:594-6)。1967年にComingsらがmultifocal fibroslcerosis(MFS)という、全身の結合織に繊維性慢性炎症をきたす疾患概念を提唱し、1989年にBergerらが肥厚性硬膜炎の合併例を報告して以来、肥厚性硬膜炎がMFSの一病変である可能性が指摘されているそうです。一方、自己免疫性膵炎とMFSが密接な関連があり、自己免疫性膵炎では血清のIgG4が増加していて、膵臓をはじめ、様々な臓器でIgG4陽性形質細胞浸潤が報告され、病理学的にはlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisと呼ばれ、病理学的にもMFSに類似していることが指摘されています。それゆえ、全身性の病態であるとして、Igg4関連硬化性疾患という概念が提唱されています。著者らのMFSとの合併例報告では、硬膜にIgG4陽性形質細胞浸潤が認められたことから、肥厚性硬膜炎はMFSの一病変であり、IgG4関連疾患ではないかと報告しています。