Medical Essay  NO.5

ある土曜日の夕方、FM新潟(FM東京)からはサントリー・ウエイティングバー・アバンティーが流れていました。この番組はバーの常連客同士の会話もありますが、客人同士の会話を聞くという、ようはちょっと変則的な対談番組。ちょうど、ラジオからはこの番組が流れていました。似たスタイルで・・・  新潟市のある喫茶店での会話。ヒマラヤ遠征の経験のある登山家と専業主婦との会話から。  「いやあ、ヒマラヤへ行くと、10-15kg体重が減るんですよ。いえね、気圧が下がるでしょ?ただでさえ、食欲はなくなるんですが、食べるとどうしても酸素を消費するんですよ。そうすると、脳へ酸素がいかなくなって、高山病になりやすくなるんですね。(この説明が医学的に正しいかどうかは筆者は解りません)だから、食べないんです。帰国したときにはオニギリ一個でも充分満腹になるようになりますね。胃が小さくなるんですね。  そのかわり、水は飲みますよ。気圧が下がるので、水分の蒸発がきついんですね、4-5リットルは飲みますね。  ヒマラヤはダイエットにはいいですよ、あ、それから糖尿病にもね!」
「カモメのジョナサン」に次ぐ、五木寛之さんによる翻訳物が出ています。「リトルターン」(集英社)  飛べなくなったアジサシの短い物語です。ほとんど絵だけの頁もあります。  私はこれは身体障害者の物語なんだと、当初は思いました。ところが、解りにくい話なのですが、読んでゆきますと、如何に飛べるようになったかという物語なんですね。つまり、うつ病あるいはひきこもりの物語だったんですね。どうやって飛べるようになったかはここでは明かしませんが、いえ、小説としてはたいした仕掛けではないと思います。良く解らないのですね。五木さんによれば、飛べなくなって呆然としている人たちに読んで欲しい、そうです。
しばらく前から、宝島社が新聞一面を使用した意見広告を時々出しています。以前、米国のウオール・ストリート・ジャーナルに米国企業が意見広告を連載したことがあって、ずいぶん評判となり、単行本として出版され、邦訳も出ていて、本誌でもご紹介したことがあります。新聞社の体質もあるのかもしれませんが、この時は文章だけでした。しかし、メッセージ性の強い言葉の持つインパクトの強さを改めて読者に再確認させた広告でした。

今回の宝島社による広告では、いずれも写真に強いメッセージ性があるようで、2002年1月3日の朝日新聞朝刊では金髪の(もちろん、日本人と思われる)若い女性が大きくなった腹部をむき出しにして(画像処理なのかもしれませんが、それにしてもこれは迫力があります。高齢者の読者の中には下品だとおっしゃる向きもあるかもしれませんが)、「ことし、子供を作ろう」と。日本の社会構造が根本的に変化してしまう危険性があるのに、政府はあまり子供を増やす政策に熱心ではありません。還暦を過ぎた政治家に将来を考える余力はないのかもしれません。「男はいらん、でも、子供は欲しい」という女性も援助する方策も考えましょう。
以前は、第二次大戦中のヨーロッパ戦線を描いた映画で、なぜかドイツ軍も英語を喋っているという変な映画が結構ありましたが・・・。実は、NYマジソンスクエア・ガーデンを本拠地とするWWF(現在は世界野生協会との裁判に敗れて、WWEと名称を変えています)に、"TAJIRI" (田尻さんというのでしょうか?)というリングネームを持つ、native Japanese speakerのプロレスラーが時々登場するようです(2001年頃です)。きれいな女性をセコンドにつけて、先日は登場してました。小柄で強くはありません。本来はHeel役なのでしょうか。タランチェラというロープを使って、相当に相手選手からの協力がないとかからないような変な技を特技としているようなのですが、この得意技をかける直前に、「お待たせしましたあ!」と叫ぶんですね。アメリカ人はわからんだろうなあ。この選手がイギリス人で現役選手でもあるWWFのコミッショナーと会話しているのを見たことがありますが、一方が英語を喋り、片方が日本語を喋っている光景って、変ですよねえ?会話になってはいませんでしたが、でもねえ。  
WTCへのテロの後、米国への入国手続きが煩雑になっていることが予想されます。アラブ系だけを厳重にしろと言うのは人種差別になるばかりか、アルカイダのメンバーの国籍は多岐にわたりますから(英国の白人までがアフガンへ義勇兵として入っている例すらあります)、実質的には無意味。であれば、全てを対象に厳重に審査せざるを得ない、ということになります。

さて、米国に短期滞在することを目的に入国する人はどこが多いのでしょうか?これほどとは思いませなんだ。11月14日号のニューズウイークによりますと、1999年の統計では、
日本      5,032,696
イギリス    4,508,739
メキシコ    3,785,420
ドイツ      2,234,310
フランス    1,259,891  
イギリスやメキシコは理解可能ですが、日本からなんでこんなに大勢行ってんだろ?すごいですねえ。  

入国した外国人の訪問先ベスト5は、
フロリダ州      5,580,363
カリフォルニア州  4,354,907
ニューヨーク州   4,026,925
ハワイ州       1,943,524
テキサス州      1,716,120  
テキサス州へ行っているのは大半がメキシコ人だと思われますし、ハワイ州へ行っている外国人の大半は日本人でしょうが、日本人の多さに改めて感動。その割に、新聞記事やTVニュースの量から判断しますと、アメリカ人は日本のことに興味を持ってませんけどね。片思い。  
福永院長先生から頂いておりますが、「院長雑感」のようなレポートがあります。(ジャーナリスティックな?)本誌とは異なり、文学的です。その中からあまり文学的ではない本誌向きの情報を少しご紹介します。  

Duchenne型筋ジスの死因は70-80%は呼吸不全ですが、人工呼吸器の導入で呼吸不全に対しては対応できるようになっているけれども、残りの死因である心不全に対する対策はまだ確立してはいません。特に、運動会や学習発表会などで頑張った子供たちが、直後に心不全で命を落とすことが少なくなく、頑張る子供に早死にが多い、という現象が起きているそうです。  

また、地域の学校で運動中に急死する学童の中には、ベッカー型の筋ジスの生徒さんが含まれていることが、最近解ってきたそうです。  

全国的な現象のようですが、医学部卒業後に専門分野を選択する際の重要な理由は、ネーベン先がどこか、収入がどの位確保できるかだそうで、国立医療施設は給料が安いので人気がないんだそうです。週末に実験室で仕事をしているのは東南アジアからの留学生だそうです。学歴のみで振り分けられて入学してきた、指示待ち人間、マニュアル人間に対する対策が急務!です。
がNHK教育TVの音楽番組に出演されました。2001年11月11日のN響アワーでのこと。作曲家の池辺晋一郎さんの先輩で、高校時代は合唱部に所属していらっしゃったとかで、クラシック音楽へのご造詣は成人後のことではないんですね。  

ラヴェルは1937年に脳外科手術をしていて、5年前の事故後の血腫や脳腫瘍を疑われて手術されたようですが、脳萎縮だけだったそうで、岩田先生によりますと、進行性失語症だったと考えられ、末期は楽譜を書けなかった可能性が高い、と。このお話の後で、ピアノ協奏曲が流れましたが、変にジャズっぽく不協和音があって現代的ですが、単に楽譜をきちんと書けなかったためではないか、という乱暴な説も・・・ないかなあ。  

同じ年に米国のガーシュインがやはり脳外科手術を受けていますが、こちらは脳腫瘍だったそうです。で、それでお亡くなりになっています。  

また、シューマンが亡くなった際に剖検をしていますが、そのクララ宛の報告書が1960年代後半に発見されているそうで、梅毒や分裂病を疑われていましたが、梅毒の所見はなかったそうです。躁鬱病といわれているそうです。岩田先生は幻覚と創造との関連に興味をお持ちだそうで、いずれも前頭葉に関係していて、どうもほぼ同じ場所を使用しているのではないか、と考えられるそうです。チェロコンチェルトの第2楽章に幻聴のような音が存在するんだそうですね。聞いても解りませんでしたが。さらに、シューマンのヴァイオリン協奏曲の一部に自殺直前に聞いてメモされたといわれる幻聴と同じテーマが存在するんだそうですね。同じメロディが一方では幻聴として、一方では創造での作業として出てくることから、この脳作業に関わる部位は同一ではないか、と。  
最近、本を読んでいて大変に気になることがあります。冒頭のような文の場合、通常は「初め」になるはずですが、「始め」と書いている小説やエッセイがほとんどで、この1-2年、「初め」と書かれている本を見た記憶がありません。また、国語審議会はなにか変えたのでしょうか?筆者が使用しているのはMax用ATOK13ですが、辞書は以前からのものなので、古くなっているのかもしれません。でも、今年が始まる頃、という意味では確かにそうかもしれませんが、変な感じがします。でも、「年の初め」という意味ですと、元旦しか意味しないのでしょうか?用法が混乱しているようです。
入江敦彦さんという英国在住の方が洋泉社新書から出していらっしゃいます。英国人に学ぶ生き方のいろいろ。  

オークションといえば、サザビーズとクリスティーズが有名ですが、前者は「紳士が楽しむオークショニア」と言われ、後者は「紳士を育てるオークショニア」と言われているんだそうですね。これは、前者が贅沢な嗜好品や装飾品を扱うのに対して、後者は絵画をはじめとする芸術作品の取り扱いに定評があったからだそうです。  

毎年、ロイヤル・アルバートホールで開催されるクラシックコンサートの締めくくりは、エルガーの「威風堂々」行進曲第1番ですが、この後にも続くんですね。知らんかった。この後、「ルール・ブリタニア」を歌って、トリが「エルサレム」なんだそうな。  

ヒースロー空港のトイレのトイレットペーパーの巻物は1メートル。こんなに太くはなかったような気がしますが、それにしてもでかかったのは確か。イギリス人ってこんなに使うのか、と筆者も思いましたもん。  

ロンドンのタクシー(ブラック・キャブ)運転資格免許の取得試験の難しさは良く知られています。それ故、所有者は労働者階級ではあっても、尊敬もされ、当人たちも誇りを持っています。しかも、誰にも拘束されず、定年もなく、無理せず好きな時間帯に週3, 4日働いて、あとは趣味を楽しんで、子供と遊んで、女房と一ヶ月ホリデーに行ける人生を歩んでいて、週給千ポンド」という生活が出来るそうで・・・。なんかなあ・・・  

英国人の理路整然たる心をAccountabilityと言うんだそうです。法学や社会学では「説明責任」と翻訳されています。英和辞典では単に責任と訳されているそうですが、同じく責任と訳されるResponsibilityが「行動を起こすという責任」であるのに対して、前者は「起こした行動に対する責任」だそうで。  
夜勤などで深夜起きていることが多い女性では、深夜は眠っている女性よりも乳癌が多いそうです。乳癌の頻度は、夜勤の回数や寝室の明るさなど、「深夜にどれだけ光を浴びたか」と量的な相関があるんだそうですが、科学的根拠に乏しいように思います。ただ、次のような報告もあります。  

米国Harvard医科大学Brigham and Women's病院からの報告では、1980代から、医師や薬剤師、看護婦らの医療従事者を対象とした複数の疫学研究が行われているんだそうで、看護婦の協力で現在も続いている前向きコホート研究「Nurses'HealthStudy」のデータを解析。Nurses' Health Studyには7万8562人の看護婦が登録していますが、1988年から1998年の10年間で、2441人が乳癌を発症。この乳癌発症リスクと夜勤との間に相関がみられ、過去29年間に夜勤を行った人では8%、30年間以上夜勤を続けてきた人では36%、乳癌リスクが高くなっていたそうです。ホルモンのサーカディアンリズムとか関連しているのでしょうか?(日経医療ニュースより)