2014年9月号 NO.1

  1. 紀伊國屋書店HPの本棚: 5位まで上昇しましたが、6位に転落
  2. MS診断基準でMSは診断、除外できるのか?
  3. NMO治験はplacebo対照ではなくて、add-onが世界の常識
  4. RituximabによるPML
  5. 台風の度に高齢者が溺死する原因は?
  6. 精神科医が精神鑑定の際に女性を全裸に
  7. Natalizumab治療での疑問点
  8. 太陽光発電の能力
  9. 「かぜのでんわ」
  10. 「この空の花 長岡花火物語」
  11. 免疫抑制剤の使用歴は抗JCV抗体陽性率に影響するか?
  12. スペイン人に聞いた、京都で一番美味しいスペイン料理店
  13. アナウンサーでも間違えやすい言い方
  14. EBVとMSの関係-補遺
  15. ホテル・オークラと米国大使公邸は地下で接続
  16. 8月はお盆と終戦で、日本人がみーんな心が一つになりそうな季節です
  17. Natalizumab drug holidayのrisk
  18. Natalizumabの効果はVLA-4飽和度70%以上が必要
  19. 二條若狭屋寺町店のふわふわのかき氷
  20. 近い将来、大阪は札幌化する!
  1. 紀伊國屋書店HPの本棚 5位まで上昇しましたが、6位に転落  
    最近、読んだ本。 柳 広司著「ナイト&シャドウ」(講談社) 米国シークレットサービスで研修中の首相SPと日本人女性カメラマンが・・・背景は大統領暗殺計画。  

    新潮新書 古市憲寿「だから日本はズレている」 題名がちょっとズレている感じ。29歳の社会学者。最後の2040年の日本を想像した記述は怖い。  

    安生 正著「ゼロの迎撃」(宝島社) 東京に、目的を持った中隊規模の特殊部隊が進入したら、現行の法律で何が起こりうるのか、は興味深いです。ま、そんな事態は想像されてはいませんから。警視庁機動隊や自衛隊空挺部隊が待ち伏せに遭って全滅したり・・・しかし、だからといって、戒厳令発布権限や民家の破壊とかの全権委任を政権に無条件で与える気にはなれませんが(日本の政治家は信用できないし)、でも、きちんと議論はするべきではありませんか?警察力で対応できない事態とは何か?その場合、自衛隊に与える権限は?  

    集英社新書 牟田和恵著「部長、その恋愛はセクハラです!」 題名につられましたが(?)、内容は旧態依然で、新鮮みに欠け、つまんない本。  

    亡くなった、与論島の住民、森 瑤子さんの角川文庫「望郷」は、読み始めたばかり。ニッカウイスキー創業者とスコットランド人妻の物語。竹鶴さんが発見した川で造られている、シングルモルト「宮城峡」10年および15年はお薦め。シングルモルト「余市」とともに、「竹鶴」の原料。
  2. MS診断基準でMSは診断、除外できるのか?
    最近、優秀な医師でMSにも興味を持っている方から、脳MRI所見でMSに特徴的な所見がないからMSではないですよね、と言われてショックを受けました。疾患特徴的な検査所見はMSにはないので、CSFでOCBがあっても、Barkhofの古典的なcriteriaがそろっていてもMSと診断はできません。以前、Barkhof基準を満足するMSではない疾患の症例報告が相次いだことがありますが、当然の話。McDonaldの基準はあくまでも他に説明可能な病因が存在しないことが前提で、その場合にCISの段階でMSを診断する方法だからです。McDonald基準で他の疾患との鑑別はできません。  

    逆に、脳MRIに所見がないMSはありえない、と言う神経内科教授もいらっしゃいました。早期のCDMSならありうるでしょう。頻度は低いけれど。  International Panelの診断基準はMSを除外する基準でもありません。
  3. NMO治験はplacebo対照ではなくて、add-onが世界の常識
    今年のAANの年次大会で、座長をしていたMayo ClinicのProf. Weinshenkerがコメントしていましたが、当然の話。(Clin Exp Neuroimmunol., in press) (その後、FDAが要求したために、2015年現在、米国人研究者は困っています。臨床医の常識的倫理観には合致しませんから。EUのEMAではPlacebo対照を要求していません)
  4. RituximabによるPML
    Natalizumabが登場する前までは、薬剤性PMLの原因薬剤としてはRituximabが断トツだったことを忘れてはいけないでしょう。  (MS治療の関係ではこれら2剤が中心ですが、2015年になってフマル酸で目立つようになりました)
  5. 台風の度に高齢者が溺死する原因は?
    台風が近づくと、田畑が心配だからと言って、60-80歳代の概ね男性が見に出かけて、道路を流れる水に足を取られるのか、川や農業用水で溺死する事故が後を絶ちません。急に今までやったことがないような行動をしたら、さすがに家族が止めるでしょうし、判断能力が低下したために出かけるのではなく、若い頃から当然のように出かけていたのでしょうね。基本的には、火事現場を見に行くのと同じで、野次馬に近い感情のようにも思いますが、実際に田畑が冠水していたらどうするのでしょう?体力のある若い頃であっても、何か方法があるのでしょうか?危険から身を守ることができないのなら、生物としての生存能力がないとも言えるので仕方がないのかもしれませんが、せめて高次機能障害で出かけることは防いで欲しいもの。
  6. 精神科医が精神鑑定の際に女性を全裸に
    京都地裁の公判前整理手続き中の精神鑑定で、裁判員裁判の30歳代の被告。医師は「性的嗜好など生活歴を知る必要があった」と主張していますが、男女を問わず、50件の精神鑑定で全裸にしていたことが判明していて、この医師の性癖を疑わせます。こいつを精神鑑定するべきでしょう。明らかにセクハラ。大阪府内の病院に勤務している医師だそうですが、京都地裁は市内で探せなかったんだろうか?京都新聞(2014/8/7)が1面で伝えました。
  7. Natalizumab治療での疑問点
    1. リンパ球サブセット (たとえば、CD3, CD4, CD8, CD19 or 20)と単球での薬剤のVLA-4のsaturationに違いはあるのでしょうか?単球はリンパ球との差がない?・・・
    2. 単球のCNSへの進入もブロックされると思われますが、リンパ球と同程度ですか?
    3. リンパ球のVLA4 saturationは70%以上で効果があるとされていますが、元データは? 一部は入手しましたが、体重別データは未入手です。 
    4. 小児では体重別に投与(3-5 mg/kg、基本はCrohn病での3 mg/kgですが、少なめ)されているのに、大人では考慮されない理由は何か?米国環境保護庁(EPA)による1999-2006年の1歳以下から21歳までの体重の調査によれば、95%信頼区分のデータも出ていて、MS治療の対象となり得る6-11, 11-16歳の体重の範囲は、小学生女児の5%が最低で、中学卒業時の男児95%が最高になるのは当然として、米国のガキども、元へ、子供たちのBWって凄いです。19.3-91.8 kgです。ハンバーガー食うの控えろよ!心筋梗塞死亡予備軍でありますよ。日本人の成人男性の体重と比較してもギョッとしますな。確かに、1バイアル300 mgなので、大人なら1V/monthなんだけど、3 mg/mlにしなくちゃいけないことにも納得できるような・・・95%超えたらどないなるん?日本だったら、運動神経がまともなら相撲部屋から会いに来ますね。米国だったらWWE (昔のWWF) ? 小児期のMSでも、この値が参考にされていますけど・・・  
    5. リンパ球のVLA4に対する抗体との阻害結合実験では、健康人とMS患者とで差がなかったとされていますが(PMDA提出資料)、おそらくはMS患者さんの採血は寛解期でしょうし、リンパ球丸ごとなので、再発時と寛解期とで差はないかとか、サブセットごとの違いとかは、どうなのでしょう?VLA4の発現自体はあるのでしょうか?薬剤の結合性に変化はないのでしょうか?Natalizumab治療中に中和抗体陰性時に認められる再発では、ICMA-1/LFA等の他の接着分子の関与以外に、Natalizumab自体の薬理がなんらかの事情で変化する可能性はないのでしょうか?考えすぎかなあ・・・ 
    6. NTZ治療中にリンパ球が増加しますが、この機序は何でしょうか?CNSでapoptpsisを起こさないから?なんていうのは悪い冗談。骨髄からCD34とともに動員されるのでしょうか?あるいは、CD34から末梢で分化している? 
    7. NTZ中止後にリバウンドが起きないかどうかは決着がついているようには思われません。NTZ治療中のリンパ球はNTZ治療前よりも活性化している報告の再現性は?  

  8. 太陽光発電の能力
    2014年現在、すでに原発15基分を発電しています!風力とか、地熱とか、振動とかも含めて頑張れば、やっぱ原発なんていらないじゃん!
  9. 「かぜのでんわ」
    「やまのうえに1だいのでんわがおいてあります。きょうもだれかがやってきました。せんのつながっていないそのでんわではなしをするために。」(Google ブックス)ヤマの動物たちが次々に電話をするために訪れます。いなくなった大切な「ヒト」に話しかけに。物語の最後、鳴らないはずの電話が鳴ります。熊のおじいさんが電話をとろうとすると、数え切れない程の星が・・・  

    発行からわずか半年で3万部が売れたそうです。絵本としては異例。この本にはモデルがあるそうです。  岩手県大槌町の佐々木格さんは、津波に町が飲み込まれてゆくのを高台から見ているしかなかったそうです。いとこが行方不明に。「あまりにも突然、多くの命が奪われた。せめて一言、最後に話がしたかった人がたくさんいるはずだ」。風に乗せて、会えなくなった人に思いを伝えてください――。佐々木さんは自宅の庭に「メモリアルガーデン」を造り、「風の電話ボックス」を2011年に置きました(「朝日新聞」電子版、2011年5月12日)。繰り返して訪れる人も。震災だけでなく、大切な人と会うために、「会話」をするために訪れる人が後を絶ちません。(TBS系列「朝チャン」2014/8/18放映)
  10. 「この空の花 長岡花火物語」
    2012年の大林宣彦監督作品。松雪泰子さん主演の現代と長岡空襲の日、劇中劇が渾然一体となった、セミドキュメンタリーの映画で、今どき珍しいほどの反戦映画。高嶋政宏さんや笹野高史さん、根岸希衣さん、筧利夫さん、村田雄浩さん、富司純子さん、藤村志保さん、草刈正雄さん、柄本明さんらが脇を固め、片腕のないミュージシャン役で坂田明さんも出演されています。新潟市も原爆投下の候補地だったことは知っていましたが、長岡空襲の際に訓練と天候などの影響を調べるために長崎に落ちた原爆と同じ容器が投下されたことや、この容器には火薬は入っていませんでしたが容器自体の重量で家族が死亡したこと、新潟県長岡市の花火(4尺玉が上がる、近郊の片貝花火は別)が空襲の鎮魂のために始まったものだと、初めて知りました。  

    この映画を見たのは、京都市内のど真ん中にある「立誠シネマプロジェクト」で、木屋町通蛸薬師下ル。江戸末期、京の土佐藩邸近くで、目の前が高瀬川。つまり、中岡慎太郎と坂本龍馬が暗殺された現場近くです。廃校になった立誠小学校をそのまま使用していて、映画館は3階のごく一部。しかも、観客席は数段の階段で、座椅子を持って行くように入り口で言われるのですが、安定が悪く、後ろに体重をかけるとそのまま倒れそうになります。2時間以上、中途半端な姿勢はきつかったです。120インチほどのスクリーンまで筆者の座布団から4-5 m程度。教室の一部なのでしょうが、暗幕を張っていても完全には真っ暗にはなっていませんでした。手造り感満載の大学祭に来たような感じのスペース。でも、通常の映画館とほぼ同じ料金でした。
  11. 免疫抑制剤の使用歴は抗JCV抗体陽性率に影響するか?
    免疫抑制剤使用歴が抗JCV抗体および24ヶ月以上のNatalizumab投与歴とともに、PML発症の3大riskとして有名ですが、MS患者さんのBWが軽い欧州の患者群では免疫抑制剤使用歴はPML発症リスクにはならない、という結果が既に報告されています。筆者は、むしろ、欧州と米国でのPML発症率の違いは患者体重の差が大きいと思います。なにしろ治験に参加した患者群で欧州と米国患者の体重の中間値に10 kgの差があるのですから。  

    抗JCV抗体陽性率を検討した結果が以前に報告されています (Ann Neurol 2011;70:742-50; Neurology 2012;78:1736-42)。
    1. 米国MS患者を対象とした長期観察研究、STRATIFY-1 (n = 1096)およびTYGRIS-US (n = 1451) で、男女の陽性率が異なり、前者でが男性が64.3、女性が53.4% (p = 0.0019)と有意で、後者のcohortではそれぞれ52.0%、46.6% (p = 0.0779) と女性で頻度が低い傾向でした。ドイツの患者群でも同様で、63.8%と56.7% (p = 0.0024)でした。
    2. いずれのcohortでも免疫抑制剤使用歴は抗JCV抗体陽性率には影響しないという結果でした。
    3. false negativeの割合は2.7%で、対象としたのは尿中のウイルス排泄をPCRで検出したもの (Ann Neurol 2011;70:742-50)。 

  12. スペイン人に聞いた、京都で一番美味しいスペイン料理店
    「ラ・マーサ」(寺町二条の交差点の北西。書店奥)小さなお店です。1時間87mmという雷雨轟く土砂降りの中、行ってきました。姉妹店「ラ ガジェガ」(三条京阪駅4号階段上がってすぐ左)の方が大きいです。味が少し違っていて、こっちは京都のせいか(?)、少なくともパエリアは金沢市のお店より薄味です。
  13. アナウンサーでも間違えやすい言い方
    • 「人気タレントの交際が発覚した」 「発覚」というのは隠していた犯罪や悪いことが露見した意。
    • 「生き様」 「死に様」から生まれた言葉。イメージが全く異なります。
    • 「高級レストランは敷居が高い」 本来、「敷居が高い」というのは、不義理をしていて後ろめたい思いがする、という意。
    • 「4月」の標準語のイントネーションは、「が」で上がるので、「し」から下がり続けるのは関西風。  (TBSの吉川美代子アナがTVでおっしゃってました)


  14. EBVとMSの関係-補遺
    1. EBV抗体陰性群でのMSリスクのオッズ比は0.06 (95%CI, 0.03-0.13, p < 0.000000001) (Ann Neurol 2007;61:288-99)。
    2. EBV初感染からMS発症までの平均期間は5.6年 (Ann Neurol 2010;67:824-30)。もちろん、EBV感染者の多くはMSを発症しないので、MSを発症するにはEBV単独ではMS発症に充分な条件にはならないのは当然。
    3. 小児のMS患者は、EBVに罹患する思春期より前に発症するので成人 (99.5%) (Ann Neurol 2007;61:288-99)よりは陽性率が低率で、86-99%ですが、同年齢の一般集団 (64-72%) よりは高率 (Neurology 2006;67:2063-5;Lancet Neurol 2007;6:773-81; Neurology 2008;71:1033-5)。 
    4. MSと診断される患者の14%はEBV抗体陰性 (Lancet Neurol 2007;6:773-81)。
    5. 伝染性単核症の既往歴を有する患者のMS発症リスクは2.3 (Ann Neurol 2006;59:499-503)。
    6. MS発症後、EBV抗体の程度は脳MRIで認められる疾患活動性と相関し (Neurology 2000;55:178-84; Neurology 2009;73:32-8; JNNP 2009;80:620-5)、進行と関連 (JNNP 2009;80:620-5; Ann Neurol
      2010;67:159-69)。
    7. CSFでのOCBはEBV蛋白と反応 (J Neurol Sci 2000;173:32-9; J Clin Invest 2005;115:1352-60)。
    8. EBV持続感染がMS脳の髄膜で濾胞状に認められる (Brain 2007;130:1089-104)。
    9. MS発症におけるEBVの役割についての仮説として、
      i). EBV cross-reactivity
      ii). EBV bystander damage
      ウイルス感染で細胞傷害が起き、自己抗原が暴露するようになって、T細胞がこれを認識 (J Exp Med 2007;204:2899-912)。この場合、MSは自己免疫疾患ではないということに
      (Annu Rev Immunol 2005;23:683-747; Curr Allergy Asthma Rep 2007;7:285-92)。持続的に、こんな免疫応答が起きますかねえ。
      iii). αB-crystallin (mistaken self)  微生物のαB-crystallinに暴露されて抗原特異的なCD4陽性T細胞が誘導され、oligo由来のαB-crystallinと反応して脱髄病変を形成
      (J Neuroimmunol 2000;105:46-57)。
      iv). EBV-infected autoreactive B cell (Trends Immunol 2003;24:584-8; Curr Allergy Asthma Rep 2007;7:285-92)
    10. EBV感染するHLA-DRB1*1501が全員MSを発症するわけではないので、その機序としての可能性は・・・
      a). EBV strain variation
      b). B cell abnormality increasing the uptake of EBV or enhancing the proliferative capacity of infected cells
      c). resistance of infected B cells to killing by cytotoxic CD8+ T cells
      d). impairment in the cytotoxic function of CD8+ T cells
      e). quantitative deficiency of CD8+ T cells  著者は最後の可能性を挙げています。EBV特異的CD8+ T cellに問題があるからMSではCNSにEBV感染B細胞が集蔟しているのだ、という仮説。最後が前提になっています。CNS内組織からEBVが検出されたという複数の論文はない?(The Neurologists 2011;17:351-67)

  15. ホテル・オークラと米国大使公邸は地下で接続
    米国からの要人はHオークラに宿泊することが多いんだそうでありますね。理由は道路をはさんで向かいにある米国大使公邸と地下で繋がっているから、というのですが・・・都市伝説の一つかもしれませんが、ありそうな話ではありますね。大使公邸なら治外法権ですし、ヘリで横田基地へ向かえば、そこはカリフォルニア州!
  16. 8月はお盆と終戦で、日本人がみーんな心が一つになりそうな季節です
    今日、8月6日は広島に原爆、リトルボーイが落とされた日。TBSの「ニュース23」でキャスターの筑紫哲也さんの時代から始まったシリーズ「綾瀬はるか『戦争』を聞く」の久しぶりの続編が放映されます。単なる人気女優を使ったドキュメントではありません。同名の本が岩波ジュニア新書として出版もされています。広島出身のご本人の意志も伝わってきます。最近のアイドルはSMAPやV6などもそうですが、ネトウヨの想像を超えて意外に社会派です。  

    これは知りませんでした。戦争末期にオーストラリアのカウラで悲劇が起こりました。8月5日、ニューサウスウェールズ州カウラの日本人捕虜収容所で1104人が脱走を図り、銃撃や自決で231人が死亡。この時の武装はバットやフォーク、料理用のナイフのみ。オーストラリア人4人も殺害されました。70年後の5日、当地で追悼行事が開かれ、すでに90歳以上になっている脱走した元日本兵も式典に参加し、この模様はTVのニュースでも報じられました。捕虜となることを恥として、集団脱走して死を望んだ日本人の行動に当時のオーストラリア人は衝撃を受けたそうです。映画「大脱走」の精神とは違います。戦陣訓に曰く、「生きて虜囚の辱めを受けず」。今回、スティーブ・マックイーン主演のこの映画が実話で、50名もの連合軍脱走兵が射殺され、これに関与したゲシュタポが戦後の裁判で死刑に処せられたことを知りました。脱走した理由は異なりますが、いずれも痛ましい「事件」で、1864年のジュネーブ条約を端緒とする国際法の精神とは相容れません。だから、国際条約が必要なのでしょうが・・・武装解除直後に射殺されることは、現代でも中東では日常茶飯事。  

    朝日新聞が誤報を認めました。済州島(チェジュド)での200人の若い朝鮮人女性を狩り出した、と1982年9月2日の大阪本社朝刊社会面で、初めて吉田清治氏の講演内容を伝え、以降、16回に渡って同島で慰安婦を強制連行したとする証言を報道した記事の全てを虚偽であったとして2014年8月5日に訂正しました。すっきりはしませんが、要するに全ての記事を撤回破棄するということでしょう。さらに、女子挺身隊を慰安婦と誤解して、慰安婦として20万人が強制的に軍に提供されたと報じたために、韓国側が米国内に相次いで建設している慰安婦像や記念碑に、20万人も日本軍は慰安婦として連れ去ったと記録することとなりました。韓国には自力で証言を集める能力はなかったのか・・・朝日新聞がそれだけ「信用」されていたのか・・・皮肉な感じではあります。NY TimesやWashington Post、ルモンド、ガーディアン、フランクフルト・アルゲマイネと肩を並べる、日本を代表する、クオリティーペーパーのはずの朝日新聞にとって、苦渋の記事ではあるでしょうね。記事を書いた記者が退社したことで、訂正取材を4月以降に漸く開始できたようですから、自浄能力にも問題があり、この後遺症は朝日にとって、計り知れず大きいです。
  17. Natalizumab drug holidayのrisk
    PMLのリスクを下げるために、NTZの投与を一時中止してはどうか、という考え方がありました。Polmanらは10例の患者さんのNTZ治療を中止して6ヶ月まで観察したところ、7/10例で脳MRIで病変を伴う臨床的な再発が出現(Ann Neurol 2010;68:392-5)。今や古典的な仕事。  

    その後に報告されたのは、西フランスの8ヶ所の病院の27例で、少なくとも6ヶ月以上NTZ治療を受けた患者で、治療不良以外の理由でNTZを中止した患者さんたちが対象。NTZ治療の前のARRが2.3と活動性の高い患者さんたちです。中止6ヶ月以内に18例(67%)で臨床的な再発があり、他の3例では無症候性のMRI病変が新たに認められています。4例(15%)ではMRIで20ヶ所以上もの造影病変があり、重篤な再発があり、リバウンドと考えられました(J Neurol Sci 2011;308:98-102)。「リバウンド」に関してメーカーは否定していますが、可能性は否定できないのが現状ではないでしょうか?  

    この領域では、以下のような論文も出ています。こんな雑誌があるなんて、知らんかった!freeで入手可能です。
    Havla J, Kleiter I, Kumpfel T. Bridging, switching or drug holidays - how to treat a patient who stops natalizumab? Ther Clin Risk Manag. 2013;9:361-9.
  18. Natalizumabの効果はVLA-4飽和度70%以上が必要
    PMDAへ提出した資料によりますと、NTZ中止4週後にはリンパ球のVLA-4 saturationは中間値で87-88%から低下が始まり、8週後には70%を切るようになります。その後は急速にsaturationは低下し、12週後には30%弱になって、脳MRIで造影病変が出現するようになります。このことから、逆にNTZを中止して3ヶ月を経過すると再発のリスクが出てくる、ということになります。
  19. 二條若狭屋寺町店のふわふわのかき氷が話題なんだそうで、男子まで一人で食べに来ている姿がTVでも紹介されていました。1500円しました。カップルばっか。
  20. 近い将来、大阪は札幌化する!
    最近の大阪の母親は、幼稚園児に男の子に対しても日焼け止めクリームを塗っています。小学生はプールで泳ぐ際には、ライフガードが着用する、ラッシュガードを身につけています。大正時代よりも遙かに露出度の低い、水着。子供時代に紫外線を浴びると大人になってから皮膚癌になることを心配しているそうです。笑えないのは、日本の皮膚科医までがTVで皮膚癌のリスクを煽っていることです。また、日本臨床皮膚科医会は子どもと保護者、教師らに向けた「学校生活における紫外線対策に関する具体的指針」を発表しているそうな。いつから日本人の皮膚癌は増加したん?オゾン層破壊の影響を受けやすい、南極に近い南米やオーストラリア南部の白人ならともかく、あんたがた、白人じゃないでしょ?外国のデータをそのまま鵜呑みにしてええのですか?米国の南部でMSが急増して、以前あった南北差がなくなったように、そのうち、大阪のMS有病率は札幌並に急増するのでしょう。MS専門医にとってはメシの種に困らないことになりますが・・・ちなみに、大阪府・箕面市では未就園児を対象に幼稚園のプールを開放していますが、日焼け止めクリームは禁止しています(理由不明、汚れるから?)。