3.多発性硬化症でのインターフェロンβ1bによる皮膚反応発症予防

田中正美、齋田孝彦
神経内科, 66:113, 2007.

本誌に掲載された、狩野-五十嵐らのインターフェロンβ1bの有害事象を抑えるための0.25mlからの漸増法1)は当院でも行っており、有効な場合があります。 遅れて発生する有害事象として最も困るのは皮膚反応で、時間経過とともに増多、増強する傾向があり、潰瘍を形成することもあります。

私たちは、以下のような方法で、完全ではありませんが皮膚反応を抑制しています。 まず、これはよく知られていることですが、薬液瓶を手で温めます。次いで、皮膚をつままずに、斜め45度以上の角度で鉛筆を持つような方法で、あるいはできれば垂直に深めに注射します。深めに皮下注射にすることがポイントです。 また、アルコール綿で消毒する前に氷で10秒ほど注射する皮膚を冷やしますと、刺入痛を減少させることができます。 最近でも、皮膚反応にお困りになって当院を紹介される患者様がいらっしゃいますので、ご紹介いたしました。

文 献

  1. 狩野-五十嵐修、荒崎圭介、岩崎康雄、ほか. 多発性硬化症に対するインターフェロンβ-1b療法。神経内科 2006;65:414.