2009年5月号 

  1. Resveratrol (レスベラトロール)
  2. 小児発症MS患者の再発頻度
  3. Paraneoplastic fasciitis-panniculitis
  4. 脳灰白質病変とEDSSの関係
  5. 誤解だらけの耳垢対策
  6. MSでのIVIg
  7. MSでのmast cells
  8. ラザロ徴候  
  9. RRMSへの自己幹細胞移植
  10. 新世代の抗うつ剤をメタ解析
  11. リンパ球性下垂体炎
  12. apraxia of eyelid closure
  13. 顎に認められる不随運動
  14. 舌や咽頭に出現する不随運動
  15. 第123回日本神経学会東海北陸地方会
  16. ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
  17. 院内暴力への対処法
  18. ミオクローヌスてんかん症候群を構成する疾患
  19. Neuroimmunologists Forum
  1. Resveratrol (レスベラトロール)は抗酸化作用のあるアンチエイジング健康食品として注目されているようです・・・と書きますと、なにやら怪しげな物質のように思われるかもしれません。実は筆者も、実験動物の世界的センターであるThe Jackson LaboratoryからのJAX NOTES (Spring 2009, No 513)を見るまで、知りませんでした。

    赤ワイン、大豆、ザクロ、クワの実、red grapes、ピーナッツに含まれているそうな。RSV (trans-3, 5, 4-trihydroxystilbene)はハーバード大のグループの報告で大騒ぎになったようです。ニュースレターの小見出しを列挙しますと・・・(なにやら楽しい研究です)
    RSV thwarts alcohol-induced fatty liver disease in C57BL/6J
    RSV improves quality of life in C57BL/6J (Cell Metab 2008;8:157-68)
    RSV protects C57BL/6J mice from metabolic disease
    RSV decreases plaque formation in Alzheimer’s mouse model (Neurochem Int, in press)

    C57BL/6Jマウス自体は標準的な実験用純系マウスで特殊な系統ではありません。2番目の論文なんかサイコー!  

    さて、本誌はMSセンターからの発行です。あります、EAEの論文も。最後の小見出しは・・・(論文の題名じゃないですよ) RSV decreases severity of experimentally-induced multiple sclerosis in SJL/J mice  
    Nebrasha大学の研究者の報告(Int Immunopharmacol 2009;9:134-43)。詳細は紹介されていませんでしたが、どうも炎症性と抗炎症性サイトカインのバランスに影響するようです。  

    インターネットで調べましたら、マウスだけでなく、ヒトの疾患にも効果があるのかどうか調べているようです。

  2. 小児発症MS患者の再発頻度が成人発症例の早期よりも高い(1.13 vs 0.40; p<0.001)という報告が改めて出ています(Arch Neurol 2009;66:54-9)。MS患者の2.7-10.5%は18歳以前に発症すると言われています。同地域での3つの比較研究では、発症早期での進行は成人発症例より小児発症例では遅いと言われています。ある研究では成人発症例では最初の2年間、再発頻度が高いと言われていますが、他の研究では発症から10年の時点では、発症年齢と再発頻度は逆相関するという報告もあります。そこで、MGHなどHarvard関連病院2カ所の共同研究が行われた、というわけ。 

  3. Paraneoplastic fasciitis-panniculitisという病態が報告されています(Nat Clin Pract Neurol 2009;5:113-7)。54歳女性。胃腺癌の再発に伴って、stiffeningと下肢と腹部のpainful spasmsが出現。化学療法で著明に神経症状は改善され、中止により悪化。GADや amphiphysinに対する抗体は陰性。

    この患者さんではイムノブロットの記載はありません。”fasciitis-panniculitis syndrome”という名称は1992年にNaschitzらにより命名され(Semin Arthritis Rheum 1992;21:211-20)、prototypeはidiopathicでShulman syndromeとも呼ばれています。原因がある場合は、悪性腫瘍、血管性、感染症、GVH反応、昆虫による刺咬、外傷後、放射線照射後、Sweet症候群が挙げられています。
  4. 脳灰白質病変とEDSSの関係
    97例のMS患者を4年間経過観察した結果が報告されています(J Neuroimaging 2009;19:3-8)。  

    赤核や視床、歯状核、基底核、rolandic cortexでのT2低吸収病変が3Tや7T MRIですでに指摘されていて、病理学的には鉄の沈着によると言われています。すでにT2低吸収病変がphysical disabilityやambulatory impairment、cognitive impairment、脳萎縮、脳萎縮への進展のリスクと関連していることが指摘されていますが、経過を追った報告がないためこの研究を行ったそうです。baselineでの尾状核のT2低吸収病変や被殻や視床での減少するT2 intensityはEDSSの悪化と関連していることが判明。

  5. 誤解だらけの耳垢対策
    耳垢をとる時の原則は、
    1). 外耳孔から1 cmまで。それ以上奥を掻くと皮膚が薄くなっているため外耳道炎を起こす危険が高くて危険。
    2). 耳垢は1ヶ月に1回で充分。  

    耳垢は皮膚がめくれたもの。外耳道の皮膚は鼓膜近くで産生され、外部へ向けて移動するんだそうな。外耳孔から1 cmほど奥に生えている毛に当たってめくれあがって、垢になるんですね。耳垢は無駄な構造物ではないようで、この中には強い抗菌作用のあるリゾチームが含有されています。知らんかった!(「目がテン!」日本テレビ系列、2009年3月1日放映より)

  6. MSでのIVIg 国内で活動性の高い患者さんを対象に治験中ですが、0.2-0.4 g/kgの用量の範囲では効果がないという報告が出てしまいました(Neurology 2008;71:265-71)。NMOではどうなんでしょう?

  7. MSでのmast cells
    かつてMAGをやっていたNIHのDr. QuarlesのラボにいたJohnson DがNIHを離れた後、mast cellsを研究していたことがあります。今、どうしてるんだろ?  

    Mast cellsはTh2細胞とともにアレルギー反応に関与していますが、Brain mast cellsは血管内皮細胞やpericytes周囲に存在し、血液脳幹門にも関連しています。脳室やMS病変に近接して存在していることが指摘されています。MSの再発に先行して分裂しているそうで、BBB permeabilityのregulationに関与。MS患者CSF中でmast cell proteolytic enzyme, tryptaseが増加してることが報告されているそうな(Ann Neurol 1995;37:63-6)。(Ann NY Acad Sci 2008;1144:74-82)
  8. ラザロ徴候 (Lazarus sign, Lazarus syndrome, Lazarus phenomenon.)は脳死判定後に人工呼吸器を外した際に脳死患者が自発的に手や足を動かす動作のこと。1984年にA・H・ロッパーによりNeurologyに5例が報告されました。名前は新約聖書でイエスによってよみがえったユダヤ人のラザロに由来。
  9. RRMSへの自己幹細胞移植が成功しているという報告が出ています(Lancet Neurol 2009;8:244-53)。Northwestern Univ.のグループ。従来の成績はさんざんでしたが、これはこの治療法が実験的である為、進行例を対象にしていたことが原因のようです。21例のRRMSが対象で、18-55歳までの患者で、少なくとも6ヶ月のIFNβ治療を受けていて、過去1年間に2回以上の再発があり、それらはMRIで炎症病変(造影病変あるいはT2病変が新たに出現するか、病変の拡大)が証明され、神経学的な変化を伴い、ステロイドパルス治療を必要とした患者が対象。つまり、疾患活動性の高い、炎症病変が活発な患者を対象にしているわけですね。幹細胞は末梢血から得ています。4年間の観察期間。平均37ヶ月後、21例中17例で、少なくとも1以上のEDSS scoreの改善が認められています。他の4例も増悪していません。5例では、移植後平均11ヶ月後に再発していますが、神経学的には悪くなっていません。

  10. 新世代の抗うつ剤をメタ解析した結果が報告されています(Lancet電子版)。その結果、有効性、許容性が最もバランスが良かったのは2剤あって、うち一つが国内で発売されているセルトラリン(ジェイゾロフト)。それにしても、12剤のうち国内には4剤しかないんですねえ。(医事新報, 2009;4425:21)

  11. リンパ球性下垂体炎(Lymphocytic hypophysitis)という病態が知られています。1962年にGoudie and Pinkertonにより報告されました(Goudie RB, Pinkerton PH. Anterior hypophysitis and Hashimoto's disease in a young woman. J Pathol Bacteriol 1962;83:584-585.)。男女比は8.5:1と圧倒的に女性に多く、平均発症年齢は34.5歳だそうな。症状や放射線学的所見はnon-secretory pituitary adenomaに類似。稀に尿崩症も。視交叉に影響して頭痛や視覚障害が起きたり、無月経や男性ではlibido消失をきたすことも。自己免疫疾患と考えられており、好中球や好酸球、組織球の浸潤があり、ステロイドに反応します。診断には組織診断が必要。鑑別診断は下垂体線種やGerminomaのほか、結核、サルコイドーシス、giant cell granulomaといった肉芽腫性炎症性疾患が重要なようです。国内でも報告があります。

    加藤修明、町田香津子, 佐藤俊一, 矢彦沢裕之, 池田修一:再発性髄膜炎を呈し臨床的にリンパ球性下垂体炎と診断された1例. 臨床神経, 2007;47:419-22

    加藤大輔、三竹重久, 湯浅浩之, 三浦敏靖, 鳥居孝子: リンパ球性下垂体炎の経過中に肥厚性脳硬膜炎を合併した1例. 臨床神経, 2006;46:564-7

  12. apraxia of eyelid closureapraxia of eyelid openingではありません。逆もあるんですねえ。これは様々な原因による右前頭葉皮質病変あるいはPSPが 原因で起きるそうです。開眼する場合と同様、閉眼しようとすることで誘発さ れます。数秒以上閉眼を維持できないことを特徴とし、"motor impersistance"との鑑別が必要。特別な治療はありません。
    (Nat Clin Pract Neurol 2009;593-105:)
  13. 顎に認められる不随運動
    Oromandibular dystonia
    Tremor
    Hemimasticatory dyskinesia
    Oculomasticatory myorhythmia

  14. 舌や咽頭に出現する不随運動
    Lingual dystonia Essential palatal tremor
    Symptomatic palatal tremor
    Lingual myoclonus
    (Nat Clin Pract Neurol 2009;593-105:)
  15. 第123回日本神経学会東海北陸地方会が2009年3月7日、名古屋国際会議場で開催されました。  

    春日井市民病院からは49歳MELASの一例を報告。一般に、発症が18歳以下では痙攣が、18歳以上ではstroke-like episodeを来すことが多い、と。  

    名古屋市立病院・山脇先生は成人型Krabbe病を報告。銀行員で仕事もできていたヒトが、34歳で歩行が遅くなることで発症。神経学的には、多幸的で病識がなく、MMSEは27、WAIS-Rが全IQ59。ataxic-spastic gaitを呈し、両側深部腱反射が亢進していてバビンスキー徴候が両側とも陽性。脊髄液検査では細胞が114/μl、蛋白26、OCB 陽性、MBP 115 (<102)。左小脳半球にFLAIRで高信号病変があり、側脳室・第IV脳室開大、側脳室周囲に病変があり、大脳白質にcystic lesionも。阪大小児科で測定したリンパ球のβ-Gal活性は0.15 (1.0-2.0)。成人型では小児に比し、せいぜい10-20%程度の活性低下にとどまることが多い、と紹介。  

    聖隷三方原病院・荒井元美先生は、「抗パーキンソン病薬によるSIADH-D4受容体刺激作用との関連」を報告。プラミペキソールを3 mgに増量した9ヶ月後にNaが127に。1.5 mgへ減量して、Naは上昇し、ADHは減少。D4/D2比はプラミペキソールが国内で発売されているagonistの中ではもっとも高いそうで、D4受容体を刺激したことでADH分泌量が促進したと考えられた、と。また、ADH高値でもNaは減少するとは限らないことも指摘。SSRIによりSIADHが出現しうることも指摘しました。  

    福井大学の岸谷先生は、「左右交代性に発症したTolosa-Hunt症候群の1例」を報告。この方は再発時に初発時と同じく、対側でしたが同じ組み合わせでV, VIも傷害されたそうです。Diffusionでは異常はなく、血栓症ではない、と。一般に、再発が半数で報告されていますが、多くは同側で、交代性は自験例も含めて14例ありますが、不思議なことに11例では右が初発側。間隔は数年ということも。発症年齢など特徴はないそうです。  

    聖隷三方原病院・荒井元美先生は、抗AQP4抗体陽性の再発性横断性脊髄炎へのシクロスポリン治療の可能性を報告。この地方会では、1医療機関から1演題どころか(関東地方会はこの原則)、一人が複数の演題を発表できるんですね。糖尿病があったためシクロスポリンを選択。証拠はありませんが、AQP4はT細胞依存性抗原でしょうから、ヘルパーT細胞を抑制することは理にかなっています。抗体は容易に陰性化してしまっていたため、免疫抑制剤をいつまで投与するかを質問したところ、少し考えた後、荒井先生は5年間は投与したい、と答えていました。根拠はないはずなので、問いただしませんでしたが、難しいですねえ・・・  

    名古屋市立大学の大喜多先生は、「NMO spectrumの一剖検例」を発表。やはり、この患者さんにも脊髄に脱髄病変が認められています。57歳男性の方で、発症から8ヶ月で敗血症で死亡されていますから、長期経過例とは言えません。脊髄液のMBPは2000以上、OCB陰性、抗AQP4抗体は陽性。脳には所見はなかったそうです。脊髄には壊死性病変があり、血管周囲にはリンパ球浸潤があって、マクロファージの浸潤が著明。GFAPの染色性は著減し、反応性astrocytosisはなかったそうな。この演題に関連して、春日井市民病院の平山先生は抗AQP4抗体陽性症候群と呼ぶべきではないかと主張されましたが、筆者は反対しました。ベットサイドでの診断名としては、抗体陰性群の中には、治療で陰性化した患者さんや低力価あるいはlow affinityの抗AQP4抗体の患者さんがいる可能性が理論的にあって、抗体陰性群の中に陽性患者と同一の病態を有する患者さんが必ず含まれうるので、抗体陽性患者だけを特定の呼び方をするべきではないと考えております。  

    岐阜県立多治見病院の堀部先生は、「中心前回を中心とする左右対称性の皮質病変を認めた橋外髄鞘融解の一例」を報告。基底核には病変はなく、pontine myelinolysisもありませんでした。両側性の皮質病変が脱髄かどうかは不明で、浮腫の可能性は?といった指摘もありました。萎縮はしなかったので、血管障害によるlaminar necrosisではないだろうと演者は発言していました。MSのcortical demyelinationのMRI所見というのもありますが・・・本当に脱髄かどうかは不明。なので、題名の最後の根拠は・・・  

    金沢大学の赤木先生は、「低IgG血症と骨粗鬆症を伴った重症筋無力症」を発表。低IgG血症を伴った胸腺腫をGood症候群と言うのだそうですが、この患者さんには胸腺腫はなし。胸腺摘出術前にIVIgが投与されましたが、IgGの異化は通常の速度なので、異化の亢進はないようで、IgG1(近畿地方会とは異なり、関東地方会のように、抄録がこの地方会にはなかったので数値はメモできませんでした。)の産生低下が原因のようです。先天性なら、低下の程度が極端ではなかったことが易感染症を呈さなかった理由かもしれません。抗nAChR抗体は10.9で特にMGが軽症だったというわけでもなかった理由でもあるかもしれません。

  16. ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
    英国では2008年9月からスクールベースで12-13歳の女子生徒に定期接種を行うことになったそうです。テレビドラマ「ER」で12歳の女の子がワクチン接種をしたいと親代わりの医師の許可を求め、SEX関連感染症の心配をするには早すぎると反対される場面が最近ありましたが、英国は早いんですねえ。

    ワクチン接種の経済効果を論じる論文が紹介されていました(MMJ 2009;5:102-3)。自治医大の産婦人科教授が解説をしています。HPV-16, 18は世界の子宮頸がんの70%の原因になっているんだそうです。このワクチンの効果は20年以上持続するそうで、日本でも始めるべきであると主張していらっしゃいます。もっと早ければ、ZARDは歌を続けられたでしょう。

  17. 院内暴力への対処法
    病院関係者を対象としたセミナー「院内暴力にどう対処すべきか」で慈恵医大総務部渉外室長は、クレーム対策として以下を挙げたそうです。
    1). 組織で対応する
    2). 迅速に相手に会う
    3). 相手より多い人員で当たる
    4). 応接室に案内する
    5). 相手の言い分を必ず確認する
    6). 担当窓口を一本化する
    7). チャート化して速やかに院長に報告する
    (MMJ 2008;4:726-7)

  18. ミオクローヌスてんかん症候群を構成する疾患
    A. Major
    1. Lafora-Body Disease
    2. Myoclonus Epilepsy and Ragged-Red Fibres (MERRF)
    3. Neuronal Ceroid Lipofuscinosis
    4. Unverricht-Lundborg Disease
    5. Sialidosis Galactosialidosis
    B. Rare
    1. Action Myoclonus-Renal Failure Syndrome
    2. Atypical Inclusion-Body Disease
    3. Biotin-Responsive Encephalopathy
    4. Dentatorubral-Pallidoluysian Atrophy
    5. Ekbom Syndrome
    6. Gaucher's Disease (noninfantile neuronopathic form)
    7. GM2 Gangliosidosis (late infantile, juvenile forms)
    8. Hallervorden-Spatz Disease
    9. Late-Onset Lafora-Body Disease
    10. May-White Syndrome
    11. Neuroaxonal Dystrophy (juvenile form)
    (http://pedbase.org/p/progressive-myoclonus-epilepsy/より)
  19. Neuroimmunologists Forumも17回を数えました。
    2009年4月4日、箱根湯本温泉で東京女子医大・清水優子先生座長で開催されました。講演は2題ありましたが、東京女子医大・小林正樹先生による「Tumefactive demyelinating lesionのMRI画像と病理所見の検討」をご紹介しましょう。  

    脳腫瘍の疑いなどで脳生検された7例の報告。全例ステロイドパルスを受けていません。これが実は問題で、リンパ腫が鑑別診断の上で脳生検でさえ最も診断が困難。当科にも丁度そのとき入院していましたが、うちのようなセンター病院ですと、前医でパルスを施行されていることが多く、組織学的にはghost tumorになってしまうため。  

    閑話休題。7例中5例が男性(埼玉医大の野村先生はうちは女性に多い、と発言)。
    1例は61歳でしたが、多くは20-40歳代の発症。ほとんどが急性発症で、階段状に進行したのは1例のみで、2週から2ヶ月の経過で進行するのが主体。  

    脊髄液でOCB陽性は2例のみ。抗AQP4抗体は測定した5例全例で陰性。6/7例では単一病変。全例でGd造影病変があり、mass effectは4例に、浮腫は6例で陽性。再発は2例のみ。ステロイドへの反応は4/6例であり、1例は全く反応せず。  

    組織学的には中心は壊死になっていて、基本像は脱髄病変でgliosisも。病変境界部は全例が明瞭。壊死周辺部にCD8陽性細胞が目立ち、CD4<CD8。壊死部にはCD68陽性細胞が多く、CD20陽性細胞の浸潤も。軸索消失やangioneogenesis、perivascular cuffingが全例に。  

    造影パターンと病理所見を対比させたところ、open ring signはマクロファージの浸潤や血管新生と関連しており、内部が不均一に造影される場合は、perivascular cuffingやマクロファージの浸潤、血管新生と関連していた。つまり、血管新生や血管周囲の細胞浸潤が病変内の造影効果(homogenous or inhomogenous)と関連している可能性が示唆された、そうです。