本文へスキップ

多発性硬化症の診断や治療に関する最新の情報サイト

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.075-822-2777

研修医向け

MSのMRI -T1強調画像・T2強調画像-

T1強調画像

T2病変の約1/3はT1強調画像で低信号病変となる。当初は造影されるが、約半分は数ヶ月かけてゆっくりと消失してゆく(Brain 2003;126:1782-9)。ゆえに、造影されなくなったblack holesは消失しつつある亜急性期の病変か、固定した慢性期の病変を意味する。

慢性期のblack holesは最初に出現後少なくとも6ヶ月間は持続する。 Black holesは進行や障害度と相関 (Neurology 1996;47:1469-76) 造影病変やblack holesを含むT1病変の量は、T2病変量より臨床の障害度と相関。(Brain 1995;1181601-12) 新たに形成されたT1低信号病変の半分は経過中に消失する。(Am J Neuroradiol 1998;19675-83; Brain 2003;126:1782-9)この消失する病変は、 可逆性の浮腫や部分的な炎症性脱髄によると考えられている。(Neurology 1998;50:1282-8; Ann Neurol 2001;49:793-6) 数ヶ月以上持続する低信号病変は恒久的な障害を意味し(Neuroradiology 1989;31:203-12; Neurology 1995;45:1684-90; Neurology 1996;471469-76; Ann Neurol 2001;49:793-6)、組織学的には重篤な軸索消失を示す。 (Neurology 1998;50:1282-8) T1 holesは稀に後頭蓋窩や脊髄で認められることがある。T1 holes内が造影される場合はより進行性経過と関連している(Neurology 2005;65:56-61)。

T2強調画像

T2病変は炎症や浮腫、脱髄、軸索消失、ワーラー変性による。(Ann Neurol 1997;44635-41)
個人差はあるが、毎年4-5個の新しい病変が形成される(Can J Neurol Sci 1988;15:266-72)。
病変は最初は小さいが、次第に癒合して大きくなってゆく(Ann Neurol 1989;25:74-81)。
T2病変の容積は初期のRRMSでは年に10%ずつ増加するが、月により変動しうる。(Mult Scler 1996;2198-205)
T2病変容積は数年にわたって、毎年8-10%増加する(Brain 1998;121:3-24; Ann Neurol 1998;43:499-506; Ann Neurol 1997;41:125-32; Ann Neurol 1989;25:43-9; Ann Neurol 1996;39:6-16; JNNP 1998;64(Suppl 1):S88-S93)。
T2病変量とEDSSは弱い相関しか示さない。(Mult Scler 1999;5283-6)
非特異的な深部白質のT2高信号病変は高齢者や血管障害のリスク患者、片頭痛患者ではよく認められる。
MSの病歴を有さない患者で、脳室周囲や皮質直下白質、後頭蓋窩以外の病変なら、それ以上の検索は不要(Semin Neurol 2008;28:453-66)。
T2新病変あるいは拡大病変数と臨床的、病理学的、免疫学的疾患活動性とに強い相関がある(Ann Neurol 1998;43:499-506; Ann Neurol 1996;39:6-16)。
T2病変の限界性が指摘されている。病理学的には特異性がなく、脱髄、ミエリン再生、炎症、軸索消失、グリオーシス、脱髄を伴わないミクログリアの集積を反映している。このためか、disabilityとの相関に乏しい。さらに、normal appearing white matterやnormal appearing grey matterに存在する病理学的所見を画像で表現できない。